8月号

出待ちしてもいいですか?|第8回|温故知新の心で型を破る! 夙川から世界に向けて能楽の魅力を発信
兵庫県を舞台に業界で活躍する
芸能人、文化人、アスリートを出入口で突撃取材!!
編集 岡力 中西若菜
今回の待ち人
上田宜照さん(能楽師)
夙川の辺りに佇む 能楽堂
今日の舞台は、阪急夙川駅。川のせせらぎに耳を傾けながら目的地へと向かう。やって来たのは『夙川能舞台 瓦照苑』。背筋を伸ばしインターホンを鳴らすと、今回のターゲットである能楽師・上田 宜照さんが「こんにちは」と笑顔で迎え舞台へと案内してくれた。現在、本業にとどまらずイベントや講演会と精力的に活躍している。緊張の面持ちで録音ボタンを押しインタビューを開始した。
同じ道を歩む父親の背中
「やんちゃで口が達者な子供でしたね」と幼少期を振り返る上田さんは神戸市出身。「初舞台は2歳の頃でした。当時の記憶はありませんが、父が手を取って歩かせながら褒める姿が今でもビデオに残っています。物心ついた頃には父と違う形で能と向き合いたいという向上心が芽生えてきました。それが人生の指針になっています」と少し照れた様子で舞台を見渡した。
形無しと型破り
現在、日本全国を巡る日々。「丹波篠山国際博ではプロジェクションマッピングとコラボレーションしたり、厳島神社の鳥居前で限定公演をしたりと、多様な演出で能に挑戦しています。最近ではインバウンド向けのイベントも増えております」。大切にしている言葉は“形無し”と“型破り”。型を理解しないまま挑戦するのではなく、伝統を重んじた上で新しいことに挑む姿勢が重要だと語った。
掛け算の街・神戸から能を発信
生徒を募集し教室としての普及活動にも力を入れる『瓦照苑』。「上手くなることだけではなく能に込められた先祖の思いや日本文化のエッセンスを感じてもらうことを大切にしています」。最後に神戸の印象を尋ねると、「まさに掛け算の街だと思います。舶来文化が掛け合わさることで新しい価値が生まれている。これからも学びの多いこの地から発信していきたいですね」。今回の出待ちはこれにて終了。上田さんありがとうございました。シーユーアゲイン!

昭和63年5月28日 能楽観世流上田拓司の長男として生まれる。父・上田拓司、伯父・上田貴弘に師事。平成2年8月19日、2歳にて初舞台以降、数々の舞台を務める。ベルギー国王フィリップ陛下御観覧公演やルーマニア「シビウ演劇祭」など多数の海外公演にも参加。

(写真左:上田顕崇 能楽観世流シテ方準職分)





大学時代からずっと通う神戸岡本の喫茶店。大好きなコーヒーを飲みながら、次の舞台や企画に思いを馳せます。

職業柄、着物や和文化が趣味と思われがちですが、港町神戸の影響からか海外の文化や洋服、スーツなどもとても大好きです!

告知
能「橋弁慶」 上田宜照他
令和7年11月15日 開演11:40(開場11:00) 終了予定15:10頃
於:上田観正会能楽堂(神戸市長田区大塚町2-1-14)
一般前売:4,500円
お問い合わせ先:0798-55-7362(夙川能舞台瓦照苑)
(取材協力)
夙川能舞台瓦照苑(兵庫県西宮市相生町10-11)
阪本紫朗(能楽観世流)












