12月号
世界中のみんなが 少しだけ優しくなれる日、クリスマスに歌う
ソプラノ歌手 コロン えりかさん
12月24日(土)にクリスマス・オルガンコンサートを控えた、ソプラノ歌手のコロンえりかさん。この日に歌うことへの思いをお話しいただきました。
子どものころから音楽はお好きでしたか?
両親の影響でクラシック音楽が身近にあったので、自然に歌っていたし、自然に好きになっていたと思います。ただ、その頃、家の中のBGMはクラシック限定だったので、大人になってからの方が幅広く音楽を楽しんでいます。ジャズもロックもポップスも、音楽に込められている情熱や愛は変わらないと思うので。フランク・シナトラの歌なども好きです。
クリスマスの思い出は?
カトリックの教えに基づいた教育を受けたので、クリスマスは特別でした。歌うことが好きで合唱部に所属し、クリスマスは聖歌隊として歌っていました。
この季節に聖歌隊が歌うことは祈りでもあります。身近な物事への感謝とかやさしさを大切にすることを学びました。現在私は、祈ることとは歌うことだと感じていますが、その精神は聖歌隊で学んだことだなと思います。
今年のコンサートは12月24日ですね。
世界中でクリスマスソングが流れますね。クリスマスのスピリットは「平和への祈り」であり「愛」ですから、世界中のみんながいつもより少しだけやさしくされる日。その日に演奏できるのは嬉しいことです。
今回は山口綾規さんのオルガンと一緒に演奏させて頂きますが、オルガンの音色は唯一無二のもの。いずみホールで生まれる音を私自身もとっても楽しみにしています。
コンサートの前半は祈りがテーマですね
クラシックファンでなくても、きっと聴いたことがある曲ばかりだと思います。200年〜300年の時を経て、どれだけ多くの人によって歌い継がれてきたのでしょうね。どの時代もみんな平和を願って歌ったはずです。尊いなぁと思います。
聴いてくださる方には静かな穏やかな時間を感じて欲しいと願っています。
後半は映画音楽特集ですね。
私の好きな映画の曲を選んでいます。意識したのは、美しいメロディと前向きになれる歌詞かな。映画はストーリーや演技、撮影などの技術も重要ですが、音楽が作品に与える影響は大きく素晴らしいと思っています。
いい映画には必ずいい音楽があります。今回のコンサートで選んだ『ティファニーで朝食を』『メリー・ポピンズ』もそうですし、大好きな映画のひとつ『スター・ウォーズ』もそうです。
私には子どもが4人いるのですが、毎週金曜日は全員で家で映画を観る日にしています。音楽って記憶装置。曲を聴いていろんなことを思い出しますよね。映画を一緒に観た人のことや自分の気持ち、人生で重なる風景など、音楽はいつも私たちを色々な所へ導いてくれます。
おすすめの映画をあげるなら?
『リトルプリンス 星の王子さまと私』は周りによく薦めています。原作はサン=テクジュペリの『星の王子さま』。「大切なこととは何か」小さな子どもから大人まで考えさせてくれる素晴らしい映画です。
ライフワークとされている「祈り」の歌とは。
人生の中で最も衝撃的な出来事が長崎での被爆者との出会いでした。人間が犯した過ちに怒りや報復を向けるのではなく、8月9日、長崎は祈りに包まれ、町中が静かになります。日本人だからこその、そのスピリットを世界で発信したくて、21世紀のアヴェ・マリアとも言われる『被爆のマリアに捧げる賛歌』を毎年海外で歌っています。私にとって祈ることは歌うことです。
ソプラノ歌手 コロン えりかさん
ベネズエラ生まれ。小林聖心女子学院、聖心女子大学文学部教育学科、同大学院を卒業後、聖心インターナショナルスクールで3年間勤務。その後、英国王立音楽院へ留学し、声楽家として本格的に演奏活動をスタート。第13回東京国際声楽コンクールでグランプリと歌曲の両部門で優勝。2020年キングレコードより「BRIDGE」をリリース。ホワイトハンドコーラスNIPPONの芸術監督として東京・京都・沖縄でインクルーシブな楽団を率いている。