04.11

WEB版 エンタメ情報|宝塚市立手塚治虫記念館30周年
記念トークショー
漫画家 荒木飛呂彦さん、語る!
宝塚市立手塚治虫記念館の30周年を記念したトークショー『荒木飛呂彦〜創作の地図〜』が、今年3月、宝塚ホテル(宝塚市)で開催された。漫画家の荒木飛呂彦さんは、集英社が主催する『手塚賞』を機にデビュー。初めて宝塚市を訪れ、手塚治虫氏との思い出や手塚作品、自身の作品について語った。
定員800名に対し、申込は8000人以上。会場の外にもファンがあふれ熱気に包まれた。
荒木飛呂彦さんは『手塚賞』受賞をきっかけに漫画家デビューし、『少年ジャンプ』(集英社)に『ジョジョの奇妙な冒険』を連載中。1986年から続くシリーズはアニメや映画化もされ、幅広い層にファンをもつ。
手塚作品との出会いは、生まれ育った仙台市。祖父母と一緒に滞在した温泉街でマンガを買ってもらい、のめり込んだと話す。「特に好きだったのは『W3』『バンパイヤ』。僕はちょっとダークな作品が好きでした。温泉宿は山に囲まれていましたから、山の中でマンガを読むのもいい経験になったと思います」
手塚治虫に限らず、石ノ森章太郎、水木しげる、ちばてつや、永井豪…。様々なジャンルのマンガに影響を受け、次第に自らも漫画家を目指すようになったという。
今回初めて手塚治虫記念館に訪れるにあたり『ブラック・ジャック』第1巻を読み直してきたと話し、「ちょっと長くなりますけど感想を話してもいいですか(笑)」と前置きし、話し始めた。
まず、1話から6話までのストーリーを解説。「毎週毎週22ページで驚かせ、泣かせ、楽しませる。幅広いアイデアがすごいです。ヒーローの孤独、SF、医学、自然…。どのストーリーも秀逸。それから6話の並び。今回読んで改めて、この並びでなくちゃいけなかったんだなと思いました」
1巻の発売は1973年。50年以上も前であることにも触れ、「今読んでも古さをまったく感じさせない。子どもの頃、“手塚先生ってなんでも描けるな”と思いました。煙も、水も、動物が走るシーンも。今でも当時と同じように驚かされます」
好きなシーンのひとつに『崖の上に建ってるブラック・ジャックの家』をあげ、描き方を真似をしたことがあると話す。「手塚治虫記念館で手塚先生の原画を見てきましたが、“やっぱりすっごいな!”と思いましたよ。やっぱり真似できないんです」
『ジョジョの奇妙な冒険』を描く際のアイデアについて聞かれると「目に見えないものを絵にしようと思って、それが “スタンド” になりました。世の中に起こっている現象を考えると、アイデアは無限にあります」。
スタンド名にもなっている好きなバンドのアルバムを聴きながらの執筆も多く、特に気分が盛り上がるバンドとして “ ACDC ” の名前をあげた。「パット・メセニーもよく聴いています。映画音楽も好き。『ディアハンター』のサントラはいいですね。ジョセフ・ジョースターはウォークマンで音楽を聴きながら旅をしているんですけど、ウォークマンで聴くのがいいんですよ。僕も好きです」
トークショーは創作の裏話や質疑応答など、予定時間を延長して続いた。終始前のめりの人、熱心にメモを取りながら聞く人、微動だにせず集中している人、最後、拍手をしながら泣いている人。手塚治虫氏を「神様」と話す荒木さんも、間違いなく「神様」だった。
宝塚市立手塚治虫記念館公式サイト
https://tezukaosamu.net/jp/museum/