2025年
4月号
4月号

万博会場 見学ルポ|日本古来の建築技法と現代の技術が融合
世界最大の木造建築物 「大屋根リング」完成
大阪・関西万博のシンボルとなる木造建築物「大屋根リング」が完成し、2月28日、施工業者から2025年日本国際博覧会協会へ引き渡された。
会場デザインプロデューサーで建築家の藤本壮介氏による構想で建設された大屋根リングは、大阪・関西万博の理念「多様でありながら、ひとつ」を表している。プロジェクト開始当初から世界最大級の木造建築物として注目を集め、全周約2千25メートル(幅約30メートルの中心となる15メートル地点での測定値)、建築面積6万1035・55平方メートルの規模を誇る。
使用する木材約2万7000立方メートルのうち約7割には国産のスギとヒノキが使われ、神社仏閣などの建築で用いられてきた伝統的な「貫工法」で接合されている。その重厚感と雄大なスケールは「清水の舞台」を彷彿とさせる。さらに、現代の技術と素材を融合させて、安全性と耐久性を確保している。会場内の主動線として来場者の円滑な移動を促すのと同時に、1階部分では雨風や日差しを遮り、快適な回遊を提供することになる。
高さ約20メートルの屋上スカイウオークからは、大阪の街並みや大阪湾、その向こうに瀬戸内海から神戸の街並み、淡路島、紀伊半島までの眺望が開ける。見上げると遮るものが何もない空が広がり、「海と空に囲まれた万博」を実感。眼下に、テーマに沿って世界各国が意匠を凝らして建設した個性豊かなパビリオンが一望できる。
新たな楽しみ方が発見できそうな大阪・関西万博。4月13日の開幕に向けて期待が膨らむ。