4月号
出会いと学びの旅から Vol.16
ロンドンのバーナードホームを訪ねて
ニューヨークからロンドンに旅立ち、到着した翌日、郊外にあるバーナードホームを訪ねました。このホームは1886年にトーマス・バーナード博士によって設立され、家庭寮を中心とした先駆的な養護方法は世界中に知られており、日本からも多くの児童福祉関係者らが訪問しています。私が訪問した当時は7万坪あまりもある広い構内に100棟以上もの家庭寮やホステルがあり、閑静な住宅街を歩いているような印象でした。
この家庭寮には乳児から18歳までの児童が600人ほど暮らしており、各寮には9人から12人の子どもたちが住み、寮には寮父と寮母の他に助手やパートの職員が配置されていて、今の日本のファミリーホームのような形態になっていました。
このホームでは子どもたちが少しでも早く自分の家庭に帰れるよう「ファミリーリハビリテーション」という親のための教育や支援、「プリベンティブ・ワーク」という、子どもを家庭から引き離さないための予防的な活動、たとえば資金の貸し付けや、ヘルパーの派遣、相談などそれぞれの家庭に見合った適切な支援を行っていました。また、ホームを出てから自立のための準備としてホステルを活用し、家事の仕方やお金の使い方など日常のいろいろな知識や技術を学べるような工夫をしていました。
私が訪問してから半世紀がたち、バーナードホームは社会情勢の変化に対応するために1970年代から施設の解体を進め、1989年に最後の大規模施設を廃止し、バーナードス、と言う名前に変更しました。運営も大きく変わり、施設から里親支援に力を入れるようになったのです。今、イギリスでは自分の家庭で暮らせない子どもたちのおよそ75%が里親家庭で暮らすようになり、バーナードスでは年間20万人の子どもを里親、養子縁組、障がい児などを対象に支援を続けています。「施設から家庭へ」という事業は着実に進められ、国を挙げての事業は日本も学ぶべきところがたくさんあるように思います。
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