3月号

震災30年 神戸を思う
神戸の復興と発展を見守り続けた30年 「6つのキーワード」は活かされてきただろうか?
阪神・淡路大震災直後、神戸に支店を置く各銀行支店長会が地元企業を支援し、経済とまちの復興に奔走した。メンバーは毎年この時期になると当時を振り返り、神戸の今と未来について話し合っている。震災30年の今年1月16日は佐井裕正さんの声掛けで、元日本銀行神戸支店長・遠藤勝裕さんをはじめ8人が神戸に集まった。1995年8月号から96年1月号まで『月刊神戸っ子』に「震災復興へのキーワード」を連載いただいた遠藤さんにお話を伺った。
6つのキーワード
連載では、震災後の神戸の生きる道において重要な6つのキーワード「民間活力」「全員参加」「神戸の宝を活かせ」「ノーと言わない。イエスからの出発」「口では言うな。論より行動」「よそ者の知恵」について一つ一つ、自分の経験を踏まえて書きました。私自身「それを忘れてはいけない」と、96年4月に東京へ戻ってからも、毎年この時期になると当時の仲間たちと集まります。まさに「よそ者の知恵」で30年間、復興と発展を願ってきました。
支店長会一丸となって頑張った
95年8月、兵庫銀行破綻。地元の中小零細企業の資金をサポートしてきた地元銀行が無くなるということは復興においても大きな打撃です。そこで再建を考えたとき、サポートをしていただいたのが中内㓛さん(当時の株式会社ダイエー社長)です。破綻後の混乱を何とか防げたのは日銀支店長としての誇りであり、中内さんのバックアップなしには考えられなかったことだと思っています。支店長会も全員一丸となって頑張りました。支店長会議を神戸で開くなどして、たくさんの人を神戸に呼ぶ工夫をしました。今となっては懐かしい思い出です。
自分たちのまちのことを
もっと真剣に考えるべきだ
昨年8月、「神戸ロータリークラブ100周年記念式典」にお招きいただき、久しぶりにポートライナーに乗りました。周りの風景を見ると感慨深いものがありました。当時、中内力さん(神戸ポートピアホテル創業者)が「このままでは神戸は大阪のベッドタウンになってしまう」と危惧し、「神戸のパワーはそんなものじゃないはずだ」と話しておられました。神戸市は今、タワーマンションを規制しています。私はあの時、震災に遭遇した一市民として、これも神戸の一つの在り方だと思います。大切なことは「その代わりに何をするのか?」。市民一人一人が「このまちに人を呼ぶためにできることは何か?」をもっと真剣に考えるべきではないでしょうか。
私は毎年1月17日午前5時46分、神戸長田にいます。これからもずっと変わりません。

前列右から2人目が遠藤さん