3月号

有馬温泉、高山荘華野(たかやまそうはなの)に 最上階プレミアムスイート 「大山蓮華(おおやまれんげ)」「山茱萸(さんしゅゆ)」が、デビュー
美に対する哲学に裏打ちされた端正なスイートルームが、いまや海外のセレブたちにも注目されている高山荘華野。ここに新たな2つの燦めきが加わった。
全15室のうち5室がそれぞれに個性のある、魅力あふれるスイートに生まれ変わった。
今回お目見えしたのは新館5階の2つのプレミアムスイート、「大山蓮華」と「山茱萸」である。いずれもこの宿ではじめて客室内に金泉・銀泉両方の浴槽を設けている。極楽泉源の金泉とラドン泉の銀泉を独り占めできるとは、温泉好きにはたまらない。
また、パウダールームは両室ともドイツの名門、ビレロイ&ボッホのボウルをダブルで備え、座りながら身支度できるよう、職人の技が光り天然素材が味わいを増すジャパンブランド、リッツウェルの座り心地の良いスツールを用意。ドライヤーはレプロナイザーの最新ハイエンドモデルを採用。デンタルはMARVIS、アメニティはフェラガモとイタリアの一流ブランドも取り揃えている。
そして高台のロケーションにあるこの宿の最上階ゆえ、眺望も素晴らしい。見下ろせば有馬の中心街が、遠くには丹波へ連なる山並みのパノラマが広がる。
「大山蓮華」は館内で一番広い100㎡のコーナースイート。カッシーナ・イクスシー社のゆったりとしたソファが置かれたリビングは65型テレビの下にバイオエタノールのマントルピースを備え、身も心もくつろぎの境地へ。深い眠りに誘うシモンズ社製ベッドにスタイリッシュな吉村障子、気鋭のアーティスト、アンジュ・ミケーレの作品が彩るベッドルームは、引き戸を開くとリビングと一体化、さらにその奥のインナーテラスとも緩やかに繋がる。
和室の設計・施工は、※平田建設(初代平田雅哉)である。宿の主人の駿川武志さんが淡交社(京都)にある※谷口吉郎設計、初代中村外二施工の茶室に感銘を受け、これを手本としたという。趣ある磨き北山杉の床柱、木目際立つ屋久杉に白竹をあわせた竿縁天井など陰陽のバランスが良い数寄屋造りになっており、家光の歌指南役を務め能書家としても知られた公卿、烏丸光弘の軸がさり気なく床の間に佇んでいるセンスの良さに感嘆。
一方の「山茱萸」は75㎡ながら、大きめのウォークインクローゼットを備えスペースを有効に使えるだけでなく、明るさや天井高の変化を織り込んだ抑揚のあるプランニングで体感的にも広々と感じる。
間接照明が癒しムードを醸すベッドルームは、起き上がると窓外の景色が見渡せる配置。ベッド周りは畳敷きで、素足のままで心地良く、奥にはカウンターデスクがあり、ワーケーションにも好適だ。
又、1段下がったところにはリビングが配置されているが、これはベッド上から窓への視線を遮らないための配慮である。L字型に配されたカッシーナのソファが、バイオエタノール暖炉を備えたテーブルを囲む。ゆらめく炎の向こうは、夕景が一幅の絵画のごとし。
ベッドルームとリビングの間にはカウンターがあるが、ボタンひとつでここからテレビが出現するサプライズも一興である。ネット配信も視聴できるので、シモンズベッドの上で映画三昧の休日も一興だ。
ほかにもフリードリンクのミニバー、やわらかいHAMAM社製(トルコ)のバスローブ、さり気なく飾られたなげいれの花やアートなど、心憎いおもてなしの数々。極上の自室でゆっくりと心の羽を休めるもよし、リニューアルしたラウンジで旅路のふれあいに興ずるもよし。世界が羨望する湯ごもりを、美と花がもてなすスモールラグジュアリーな宿、高山荘華野で贅沢な休日をお過ごし下さい。
明治三十三年 堺市に生まれる。朝香宮茶室(東京都)、大徳寺如意庵(京都府)をはじめとする数多くの茶室、一流料亭や旅館など、生涯にわたり数寄屋建築の設計施工一筋に取り組んだ。
現在、三代目、雅映氏は、藤田美術館の茶室や高麗橋吉兆(大阪府)など、平田流数寄屋スタイルを更に進化させている。
※谷口吉郎(1904~1979)
建築家。九谷焼の窯元に生まれ、東京帝国大学で建築を学び、東宮御所や帝国劇場、迎賓館赤坂離宮和風別館「游心亭」などを手がけた。また、高校の同級生で名古屋鉄道会長の土川元夫とともに博物館明治村を創設、フランク・ロイド・ライト作の帝国ホテルなど価値ある建築物の保存に努めた。
長男の吉生(1937~2024)も建築家で、土門拳記念館や片山津温泉総湯、GINZA SIXなどの作品で知られる。長女の真美子は裏千家家元の千宗室(14代)の次男で淡交社社長の納屋嘉治に嫁いだ。
有馬温泉 高山荘 華野
兵庫県神戸市北区有馬町400-1
TEL.078-904-0744
(お受付時間9:00~21:00)
https://www.arima-hanano.com/