3月号

美しきかな ひょうごの文化財 | 今なお保たれる煌びやかな姿 |
第三回 長田神社 黒漆金銅装神輿
地元では「長田さん」として親しまれている長田神社。託宣の神「事代主神」を祀る本殿、幣殿、拝殿をはじめ、境内の6つの末社(天照社、八幡社、月読社、出雲社、松尾社、蛭子社) など16の建物が国の登録有形文化財に登録されている。境内ほぼ全ての木造建築物が貴重な歴史の遺構といえる。さらに、宝物庫に保管されている「黒漆金銅装神輿(こくしつこんどうそうしんよ)」は1969年、国の重要文化財に指定されている。装厳具の技法に優れ、昭和58年~59年(1983~84)の解体修理を経て保存され、その煌びやかな姿が今なお保たれている。
源頼朝奉納と伝えられているが定かではなく、康正3年(1457)の修理棟札から、足利尊氏奉納とも考えられる。全面が黒漆で塗られ、屋根は金銅の板張り、軸部と基台部には金銅の飾り金具が打ち込まれている。方形の神輿の基台上に勾欄がめぐらされ、正面には鳥居が配され、屋根の上に金銅の金具で飾られた鳳凰が非常に特徴的で、「縁起の良い神輿」と言われる所以の一つだ。
この神輿は霊験あらたかなる「雨乞神輿」とも伝えられている。正保3年(1646)に「雨乞祭」として始まった「神幸祭」(通称・長田まつり)で、日照り続きで雨が降らない年には村々を渡御のうえ、野田乃浜(現在の長田区野田町)の御旅所で海中に担ぎ入れ、雨祈願をしたといわれている。祈願をしたのか、勢い余ったのか、真偽のほどは定かではないようだ。

屋根の上の鳳凰の飾り物は縁起の良い神輿の象徴

黒漆の塗りの所々に金銅の装飾が施されている

修理保存の状況が良く、重厚で美しい姿が保たれている
長田神社
神戸市長田区長田町3‐1‐1
TEL.078‐691‐0333
開門時間 5:00(10月~3月 6:00)~18:00
祈祷受付 9:00~16:00
※黒漆金銅装神輿は普段は非公開