1月号
「Captivate~世界に誇れる神戸へ~」 上根 彩<一般社団法人神戸青年会議所(神戸JC)>
一般社団法人神戸青年会議所(神戸JC)第67代理事長に上根彩さんが就任した。震災から30年という節目の年に掲げた基本方針「Captivate」に込められた思いをお聞きしました。
―理事長に就任された今のお気持ちをお聞かせください。
重責であることを自覚し、身の引き締まる思いでおります。1年間、この職をお預かりする限りは、11年間お世話になってきました神戸JCへの感謝の気持ちと先輩方への尊敬の念を心に据えて務めてまいりたいと思っております。
―2026年の全国大会を控えての大切な年ですね。
全国大会に向けての準備の年だということは大前提としてあり、組織が一丸となるためにも今年の活動は非常に重要になるという認識を持っています。過去に全国大会を経験された先輩方からのアドバイスを頂きながら準備室を開設し、チームで役割を分担して課題を解決しながらプロジェクトを進めています。ただし、準備のためだけの1年になってしまわないよう、しっかりと成果をあげる運動にも取り組んでいきます。行政や各団体の皆様、そして各地JCの皆様との連携を強化していきたいと考えております。
―今年は震災から30年です。上根理事長ご自身、心に残る震災の記憶をお持ちですか。
私にとって震災の記憶は、後にJCに入るきっかけの一つになったと思っています。私の家業は震災が大きなターニングポイントになりました。店舗は全壊、祖父と父はまずお預かりしている修理品を守り抜くために瓦礫の中から探し出すというような状況の中で、何とか店を再開したいという強い思いを持っていました。そんな時、このまちの方々からたくさんのご支援を頂きました。当時のことを色濃く憶えていた私は、家業へ入った時にこのまちに何かお返しできることはないかと考えるようになりました。これが青年会議所の門を叩いたきっかけの一つでもあります。30年という節目の年にこのようなお役目を頂いたのもご縁だと考え、「震災の教訓を受け継ぐレジリエントなまちへの進化」という一文を理事長所信に入れさせていただきました。
―一文にはどんな思いが込められているのでしょうか。
30年前、神戸JCは日本全国の地域のJCの皆様に大変お世話になりました。感謝の気持ちで還元していかなくてはならないという思いです。もう一つ、神戸のまちづくりに携わる団体として、「有事の際、何ができるか?」を改めてメンバーみんなで考えていきたいと思っています。どういった団体と手をつなぎ、行政とはどう連携を取れば、強靭なまちづくりのために役に立つ団体になれるのかを考え次の世代へ繋いでいきたいという思いを「レジリエント」という言葉に込めています。
―基本方針の「Captivate」とは?
神戸は訪れた人々を柔軟に受け入れる港町らしい気風が息づき、この地で豊かに育むことができるまちです。このまちをより魅力あるまちへ進化させるためには何をすべきかと考えたときに「魅力」という言葉の定義を改めて深堀りしました。明確な理由がなくても、何となく魅力を感じる人やモノってありませんか。そして、その周りには常に人が集まっている。魅力とは人を惹きつける力のことで、この力をすべての運動に携えていきたいというのが「Captivate」の言葉に込めた想いです。魅了するという言葉の中でも、特に強い表現であるからというのも理由の一つです。
―インバウンドでは大阪・京都に後れを取っている神戸の観光についてはどのようにお考えですか。
神戸空港の国際化や大阪・関西万博開催、中突堤旅客ターミナルへのクルーズ客船などプラスの要素が増える中で、取り組むべき課題だと考えています。大阪・京都や瀬戸内など各方面のアクセスが良い点や医療産業都市である点(メディカルツーリズム)など神戸のもつ長所へ着目した周遊ルートや滞在時間を延ばす工夫を検討していきたいと考えています。
昨年、私は、神戸JCから初の輩出となった日本JC小西毅会頭の下、掲げられた「観光地経営で地域の経済を活性化させよう」という取り組みに刺激を受けました。現在、各地で多くのJCが地域資源を見直し、実証する中で成果をあげ始めています。これを是非神戸JCでも取り入れ神戸らしい観光振興の在り方を考えていきたいと思っています。
―神戸の街の観光資源としての魅力はどこにあるとお考えですか。
神戸は海があり、山があり、そして南面傾斜という地形で、とても良い風が吹くまちです。穏やかな空気と阪神間モダニズムが残す洗練されたライフスタイルが息づき「暮らすように旅をする」ことが楽しい。これこそが神戸の魅力だと考えています。
―JC全国大会で神戸に来られる方にも宿泊してゆっくり観光していただきたいですね。
コンパクトなまちですから利便性が高く、神戸だけでなく、少し足を延ばせば京都や大阪、瀬戸内への観光も可能です。この利便性を活かした周遊ルートを提案すれば、神戸に宿泊していただける方も増えるのではないでしょうか。
―広報活動についてのお考えは?
JCが何を目的とした団体であるのかを地域の皆様へ発信し、親近感をもっていただくことができれば連携できる可能性が広がります。今、神戸では色々な団体がそれぞれ創意工夫を凝らし、面白いイベントが点在しています。マーケティングを講じた広報戦略で、JCと神戸に今ある色々なセンスやアイデアがつながれば、まち全体がもっと盛り上がります。
―他にも今年、力を入れようとしている活動はありますか。
青少年に国際交流の機会を持っていただく取り組みや国際女性デーの企画も検討中です。リーダー育成という点にも着目しており、青少年の自己肯定感を高め、シビックプライドを醸成するプログラムや会員の経営・経済分野の資質を高めるための研修も充実させていく予定です。
―会員拡大に向け、改めて上根理事長からJCの魅力をお話しください。
もちろん一番の魅力は人との出会いであり、仲間ができることです。そのほかにも「できない」ことを「できる」に変える発想力や物事に目的意識を持つことなど勉強になることがたくさんあり、一つ一つの経験は決して無駄にはなりません。経験から得たことが様々な場面で役に立ち、後々、社業にも生きてきます。
―神戸JC初の女性理事長として、ひとことお願いします。
この世代はロールモデル不在の時代であると感じています。社会で積極的に活動する女性を尊敬しつつも、なりたい自分を見失ったりすることもあります。だからこそ色んな人の生き方を見ることが自分の輪郭をはっきりさせていくことに役に立つと思います。私自身、10年前に思い描いていた人生とはまったく違う道を歩んでいます。人生の長い道のりのほんの一部、JCで肩肘張らずに同世代の仲間たちと語り合いながら、自分らしい未来を見つけていくのもいいんじゃないかなと思います。
―神戸JCの今後に期待しています。私どもにも協力・連携させていただける機会がありましたらよろしくお願いいたします。
上根 彩(かみね あや)
1985年生まれ、神戸出身・在住。神戸女学院大学英文学科卒業。
2012年、株式会社カミネ入社、22年、専務取締役就任
お問い合わせ先
事務局/⼀般社団法⼈ 神⼾⻘年会議所
〒651-0083 兵庫県神戸市中央区浜辺通4-1-23
三宮ベンチャービル108号室
■TEL:078-855-8329
■FAX:078-885-8175