10月号
明治39年創設の神戸史談会がプレ120年記念例会を開催
9月15日、兵庫津ミュージアムにて、創立120年目を迎えた神戸史談会が、プレ120年記念例会を開催した。
まずは会長で生田神社名誉宮司の加藤隆久さんが、日露戦争が終結した明治38年(1905)に創設されて以降、令和まで5つの時代を駆け抜け、阪神大水害、太平洋戦争、阪神・淡路大震災、コロナ禍を乗り越えてきた史談会のあゆみを回顧し、「今後とも郷土愛の上に立って、神戸文化の歴史の跡を明らかにし、文化財の保護・顕彰にも尽くしていきたい」とあいさつ。兵庫津ミュージアムの笠井敏光館長もお祝いの言葉を述べた。
続いて記念講演がおこなわれ、まずは湊川隧道保存友の会の佐々木良作副会長が、史談会の二代目会長を務めた武岡豊太(1864~1934)について語った。武岡は淡路出身、日本初の水族館で知られる和楽園の社長として手腕を発揮したことで注目を浴び、湊川改修株式会社の支配人となって事業を完遂、晩年は新開地の劇場、聚楽館の社長を務めた人物で、第一線を退いた後には勤王志士を研究し、史談会で精力的に活動した。佐々木さんは武岡の半生を紹介しつつ、民間の力で成し遂げた湊川改修事業の経緯や意義、現在は保存・活用されている湊川隧道の特徴などについて解説し、「仕事もさることながら社会への貢献でも大変すぐれていた武岡豊太をもっと顕彰すべき」と話した。
代わって兵庫津ミュージアム名誉館長で、前述の湊川隧道の保存にも尽力した田辺眞人先生が登壇。まず自身と史談会について語り、史談会副会長を務めた川辺賢武氏との出会いが地域史に関わる第一歩で「生き方を決めた」と振り返った。講演のテーマは120周年にちなみ「12、120の文化史」で「12」という数字に着目したユニークな内容。ギリシャ文化ではオリンポスの神々が十二神、オリエント文明ではキリストの弟子が十二使徒、中国文明では十二支、インド発祥の仏教では十二神将だが、その源流は朔望=月の満ち欠けが12回繰り返すと季節が一回りして1年が経つことから「12」に重要な意味を感じたのではないかという見解を示し、それが現代にも何気ない場面で息づいている例も紹介。そして「史談会は120年の大還暦、再生の時期を迎えようとしています。生まれ変わってこれからも発展するためにも、ぜひ若い人の入会を」と締めくくった。
神戸史談会は来年9月の創立120年にむけ、さまざまな周年企画を検討している。
武岡豊太翁を顕彰するフォーラム
内容
◆基調講演 講師:田辺眞人
演題:「街のお宝を活かした地域振興」
◆パネルディスカッション パネリスト:木田薫・佐々木良作・鶴澤友吉・投石文子・前田晃一
日時 11月17日(日)13:30(受付13:0~)
会場 南あわじ市市地区公民館(南あわじ市市三條880)
入場料 無料
参加申込 事務局 太田良一:TEL 090-2061-9929
※平日10時~16時・受付は10月31日まで
歴史家 田辺眞人のミニレクチャー
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