06.27
WEB版 エンタメ情報|リーディングドラマ『終わった人』
中井貴一さん キムラ緑子さん
2023年に全国8都市で公演し、全公演がsold out したリーディングドラマ『終わった人』がこの夏、再演!待望の関西初公演を前に、中井貴一とキムラ緑子が取材会に出席し、今作のおもしろさなどを語った。
面白過ぎる小説が、面白過ぎる舞台に…
面白過ぎる小説の原作は内館牧子。1980年代からドラマの脚本で当時の若者たちの心を掴み、近年は、かつて若者だった大人たちの心に刺さる小説『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』『老害の人』などを出版、今作『終わった人』も含め、“老後小説”として話題を呼んでいる。
面白過ぎる舞台の出演は中井貴一、キムラ緑子。中井のラブコールによって、同い年の2人の共演が決まった。定年退職し、“終わった人”となった田代壮介は中井が、その妻、娘、愛人未満の女性とバーのマダム、すべての“女たち”はキムラが演じる。
リーディングドラマは、語りのみで話が進む。舞台の上では、並んだり、背中合わせに立ったり、椅子に腰かけたり、至ってシンプル。今作の人気について中井は「情景はお客さんの想像力に委ねるしかない。テレビドラマとは違う、想像することのおもしろさを理解してくれたのかな」。演じる側のおもしろさをキムラは「全国で公演し、小さな芝居小屋でも広いコンサートホールでも、どんな場所でも、声さえ届けば演じることができるところ」と話す。中井は「舞台を見慣れない人のところに、僕たちが届けに行くことができますよね」と返し、「(本を見ながら演じるので)堂々とカンペを見ながらできるし、長く続けることができる芝居です」と笑った。
“終わった”といわれてしまう田代壮介の年齢に近づいている今、思うことを問われると「人は何のために生きてるんだろうと考えるようになりました。その問いを優先しながら生きていくんだと思います」(中井)。「これからの私に何ができるんだろうと考えています。ミュージカルなどで一緒に歌ったり踊ったりしている若い人といろんな話ができたらいいですね」(キムラ)。
あまりの人気に追加公演も早々に決定。2026年には再々演が決定している。
内館牧子の描く手ごわい女たちと引っかき回される男。まだまだ終わりそうにない。
◾あらすじ
快調に突っ走った田代壮介の人生は、50歳に差し掛かったところで急ブレーキ。いきなり窓際にとばされ、そのまま定年退職。毎日が大型連休、何もやることがない。退屈で死にそうだ。「定年って生前葬だな」。「恋をしたら」と娘、「そうよ、恋よ、リタイアした人こそ、恋が生きる活力」と妻。
「くそ、バカにしやがって。俺は、ネバーギブアップの男だ!」
そこに最高の仕事と最高の恋の相手があらわれる。
(台本・演出 笹部博司)
公演情報
リーディングドラマ『終わった人』
日時:2024年7月13日(土) 開演16:00
14日(日) 開演13:00/開演17:00
会場:森ノ宮ピロティホール
日時:2024年7月15日(月・祝)開演15:00
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
原作:内館牧子『終わった人』(講談社文庫)
出演:中井貴一 キムラ緑子
台本・演出:笹部博司
問合せ:キョードーインフォメーション https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/8322
text.田中奈都子