3月号
神戸から車で3時間 歴史と文化とグルメの岐阜の旅
訪れてこそわかる魅力にあふれた土地がある。
だから旅はおもしろい。
岐阜県の海津市と養老町、揖斐川町の旅を紹介したい。
(本記事は、岐阜県観光PR事業によるプレスツアー参加記事です)
岐阜県の観光地といえば、飛騨高山や下呂温泉、白川郷、歴史好きなら関ケ原や岐阜城などを思い浮かべることだろう。そして少し遠いと。実際のところは、関ケ原を越えて大垣あたりまでならば、神戸から阪神高速・名神と3時間ほど車を走らせれば着く。1泊旅行にはちょうどいい。
1日目 昼
千代保稲荷神社(海津市)
日本三大稲荷(諸説あり)に数えられる千代保(ちよほ)稲荷神社(愛称・おちょぼさん)。特筆すべきはその参道にある。約120もの店舗が軒を連ね、特に毎月末から翌1日にかけて行われる「月越参り」は夜通し賑わう。洋品店や漬物屋、八百屋、乾物店などバラエティに富んでいるが、飲食店も多い。昔ながらの川魚を扱う店や草餅を売る店、餃子の皮を油揚げにした「稲荷餃子」が人気の「餃子工房いろどり」など新しい味もある。串かつ店は約20軒あり、そのほとんどが店先に立ち食い席がある。大人も子どもも一緒に次々と揚げられる串を手に取り、ソースや味噌をつけて食べ、会計は串の本数。幼き頃から親しむ串かつの味と雰囲気が、連綿と受け継がれている。
1日目 午後
養老公園(養老町)
名瀑・養老の滝がある養老公園へと向かう。孝行息子が見つけた若返りの名水に時の天皇が噂を聞きつけ行幸した逸話が残る。養老公園は県営として2023年に100周年を迎えた。この公園内に不思議なテーマパーク「養老天命反転地」がある。当たり前のことが当たり前でなくなる不思議な場所。自分で考え体感する芸術作品だ。写真は撮り方次第でSNS映えして面白い。
養老の滝へは「養老の滝入口駐車場」から30分ほど歩くことになる。この道中が楽しい。「親孝行のふるさと会館(冬季休館)」では、映像で養老の滝にまつわる伝説を紹介。「ひょうたんらんぷ館」の瓢箪ランプの美しさに驚かされる。喉が渇いたなら「復刻養老サイダー」がおすすめ。瓶には日本最初の文字。神戸っ子としては「日本最初は有馬サイダー」と反論したいところだが、飲み比べてみたい。長い坂を登れば養老の滝だ。美しい。紅葉や桜、新緑の季節は、この滝に会いに行くだけでも価値ある旅になるだろう。
1日目 夜
焼肉街道(養老町)
岐阜県で牛肉といえば飛騨牛。神戸ビーフと同じく産地でも、なかなか口にできない高級牛だ。養老町には食肉処理施設があり、上質で安価な精肉が手に入る。一家に必ず炭焼きのバーベキューセットがある土地柄で、県道56号は焼肉街道と呼ばれるほど。名古屋をはじめ県外からわざわざ訪れる人がいるのも納得だ。
2日目 朝
朝 食
大垣駅前のビジネスホテル「コンフォートイン大垣」に泊まった。朝食は無料のビュッフェスタイル。一押しは岐阜県産米ハツシモを使った「ハツシモ鶏ごぼうめし」。いっぱい食べたいが控えめにした。理由は、岐阜でも名古屋同様にサービス精神にあふれた喫茶店が多いため。向かった先は「TEF TANIGUMI」(揖斐川町)。1棟貸しのプライベートヴィラだが、併設の「Cafe TEF」は宿泊者以外も利用ができる。オシャレでボリュームある朝食に満足。
2日目 午前
谷汲山華厳寺(揖斐川町)
揖斐の寺といえば、西国三十三所霊場最後の33番札所「谷汲山華厳寺(たにぐみさんけごんじ)」(愛称・谷汲さん)だ。最後の札所であるため満願寺とも呼ばれる。境内は広く、巡礼で着ていた白い衣を脱ぎ納める「笈摺堂」や「満願堂」、「精進落としの鯉」など、他にはないものを見ることができる。
2日目 昼食
「ぎふジビエ」(揖斐川町)
昼食はジビエの名店「シャルキュトリー・レストラン里山きさら」。仔鹿ロースのサイコロステーキセット(2,420円)をいただいた。クセがなく深い味わい。肉だけではなく、全ての食材にうま味がある。この地は満願寺のお膝元だけあり、巡礼中の精進潔斎から開放された精進落としの地。おいしくいただく感謝の心が今も息づいている。
2日目 午後
両界山横蔵寺(揖斐川町)
803年に伝教大師最澄が創建した「両界山横蔵寺(りょうかいさんよこくらじ)」へ。紅葉の名所として知られる古刹だ。22体の国の重要文化財などがあり「美濃の正倉院」と呼ばれている。中でも200年前に即身成仏したという妙心法師の舎利仏は必見。
2日目 午後
カフェタイム(揖斐川町)
観光を終え大垣へと戻る前、カフェに向かった。小さな集落の中にある善立寺の境内に築100年の旧保育園舎を改装したカフェ「縁舎」がある(営業日は水・金・土)。園舎が紡いできた人のつながりと「人や言葉が行き交い出会う場」になればと「縁舎」と名付けられた。手作りのぬくもりある内装。歴史と世界とのつながりを感じさせる小物がならぶ。カフェやランチが人気で、土地で採れた季節の食材が中心。ほっこりさせてくれるカフェが旅の最後を締めくくってくれた。
歴史と文化、グルメに彩られた岐阜の旅。ここには、訪れてこそ見つかる魅力がありました。
(写真・文 塚本隆司)
主催:岐阜県観光誘客推進課
− 岐阜の旅ガイド −
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