5月号
KOBECCOオススメ 〜CINEMA〜
響け!情熱のムリダンガム
原動力は「好きの力」
好きの力は生きる活力になる。映画スター・ヴィジャイに夢中な主人公、ピーターは、冒頭からヴィジャイ新作映画の初日初回に、ファンクラブのメンバーとお祭り騒ぎ!さらに楽器職人の父が作った打楽器、ムリダンガムを南インド伝統音楽の巨匠アイヤルへ届けたとき、彼の生演奏に感激し、ムリダンガム奏者を目指す決意をするのだ。アイヤルに弟子入りを懇願するピーターの前に立ちふさがる現実。なんとかそれを乗り越えても、さらなる試練が訪れる。ライブシーンや師弟愛だけでなく、カーストによる差別、継承と革新の間で揺れる巨匠の苦悩と、伝統音楽/楽器を切り口に多様な問題を織り込んだ青春音楽映画。本作に惚れ込んだ東京の南インド料理店が個人配給し、好きの力が数珠繋ぎなのも胸アツだ。
text.江口由美
『響け!情熱のムリダンガム』“Sarvam Thaala Mayam”
(2018年 インド 132分)
監督:ラージーヴ・メーナン
音楽監督:A.R.ラフマーン(『スラムドッグ$ミリオネア』)
出演:G・V・プラカーシュ・クマール、ネドゥムディ・ヴェーヌ、
アパルナー・バーラムラリ、ヴィニート
配給:テンドラル
元町映画館にて5月6日(土)より2週間上映。
※5/14上映後に本作配給・稲垣紀子さんによる
舞台挨拶開催等予定。詳しくは公式サイトまで。
上映スケジュールはコチラ▼
https://www.motoei.com/
© Mindscreen Cinemas
波紋
絶望が笑えるエンターテインメント!
「私の中にある意地悪で邪悪な部分を全部投入した」と荻上直子監督が話すこの作品。極悪人が出てくるわけではない。むしろ質素に真面目に生きる人たちの物語。真面目に生きていても天災は起こり、人は患い、老いる。その時々で生じる問題にどう向き合うか、選ぶ道は人それぞれ。
表向きは世間で正しいとされる選択をしながら、同時に“逃げる”選択もしてしまった主人公依子に、監督は日本女性の生きづらさを描いたと話す。自分と重ねて観る女性も多いかもしれない。
出演は筒井真理子、光石研、柄本明、キムラ緑子、木野花、安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙ほか、“何かが起こる”ことを期待させる顔ぶれ。一人ひとりの小さな邪悪が、期待通り笑えて、期待通りちょっと怖い。
text.田中奈都子
『波紋』
(2023年 日本 120分)
監督・脚本:荻上直子
出演:筒井真理子、光石研、磯村勇斗、
安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙、
津田絵理奈、花王おさむ、柄本明、
木野花、キムラ緑子
配給:ショウゲート
シネ・リーブル神戸にて5月26日(金)公開。
上映スケジュールはコチラ▼
https://ttcg.jp/cinelibre_kobe/
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