5月号
親も子も “賢く”なろう |Vol.02
社会から預かった子どもを、社会へ返すために育てる
大人になった我が子の責任を親は負えない
生まれてきた子どもは、自分たちの子どもであると思うのは至極当然です。とても可愛い、どこの子より可愛い。しかし、それと同時に、子どもは社会からの預かりものなのです。子どもはやがて大人になり、社会に返さなくてはいけません。いつまでも親が責任を負うわけにはいきません。社会に出た我が子が何か悪いことをして親が「責任取れ!」と叱責されるケースはよくあります。そこで「5歳まで戻って育て直します」などと言えますか?そんなことは決してできません。親子関係のなかで、就学前ぐらいまでには、ちゃんと躾をしてほしいです。ひとの言うことをきちんと聴くことのできる素地をつくって社会に返す。生まれたときから親御さんには認識してほしいと思うのです。
親はできるかぎり何もしない
では親は子どものために何をすればいいのでしょうか?可愛い我が子にはどんなことでもしてあげたいという気持ちは分かりますが、衣食住を満たしたらできるかぎり、何もしない。とにかく子どもとたくさん話してほしい。家の中でもいいし、危険がいっぱいの今の世の中では放ったらかしにするわけにはいきませんから、親御さんがいろいろな所に連れて行くのもいいでしょう。一緒に行動する時間の中で話ができます。
手を差し延べない、手を貸さない。見守るだけ
ただし、親御さんが自分の価値観で枠にはめようと最初から最後まで手取り足取り教えることだけはやめましょう。いつも親御さんは見守るだけ。転ぶ前に手を差し延べたり、忘れ物を届けたりはしない。子どもは痛い目、つらい目、恥ずかし目にあって学習します。自分で考えようとしているときに手を貸さない。重たい石を運ぶために学校で習った「支点・力点」を思い出し応用の仕方を考えます。身に付けた知識は、こうして知恵となり、やがて知力、つまり生きる力になるからです。
(つづく)