5月号
輝く女性Ⅱ Vol.12 ファッションライター 八尾 美奈子さん
インタビュアー・三好 万記子
人気料理サロン「ターブルドール」代表の三好万記子さんがホスト役となって、輝いている阪神間在住の女性にお話を伺うシリーズ。
おもてなし上手な三好さんとの対談から、どんなオイシイお話が飛び出すことでしょう。
ファッションライター 八尾 美奈子さん
駆け出しの時に言われた「仕事は“人”とやりなさい」という言葉。
いい人と仕事するのが、私のモチベーションの根源になっています。
「STORY」「美ST」「HERS」など、有名ファッション雑誌のフリーランスライターとして活躍する八尾美奈子さん。原稿執筆のみならず、各誌の読者層に合わせた特集の企画提案から撮影コーディネートまで、関西ページは八尾さんに頼めば間違いなし!と雑誌編集部が信頼を寄せる第一人者。いつもは取材して紹介する側に立つ八尾さんを、今回初(!)で逆取材、レアなお話を伺うことができました。
…雑誌の仕事を通じて、関西の美女に最も多く関わってきた人として知られる美奈子さんですが、そもそもファッション雑誌に関わる仕事を始めたきっかけは?
雑誌のライターを始めたのは40歳を過ぎてからなんです。甲南女子大学を卒業して2週間で結婚して(笑)、社会人経験がないまま、主婦業と子育てに没頭する30代を過ごしました。ところがある日、“誰々ちゃんのママ”としか呼ばれないことに違和感を持ちだしたんですね。そんな時に偶然、お友達のセレクトショップの取材に来ていたライターさんと出会い、関西の美人ママを紹介してほしいと頼まれました。当時、絶賛子育て中だった私に白羽の矢が立ったというわけです。とびきりキレイなママ友を厳選してご紹介した縁で、東京へ転居されるというそのライターさんの後を引き継ぐ形でライターデビュー。「VERY」からスタートし、「STORY」「美ST」など、他の雑誌も手掛けるようになりました。
…美奈子さんがヘッドとなって取材チームを編成し、読者を魅了する人気企画を次々と打ち出しておられます。雑誌の特集はどのようにして考えられるのですか。
関西独自の着こなしにフォーカスして考えます。例えば、黒をテーマに特集を考える場合、東京ではお仕事に黒を着る方が多いのですが、関西のマダムはお出かけ着としても黒の服を多用します。その際、パールではなくゴールドのアクセをあわせるとか、大胆な肌見せとか、レースが袖ではなく背中にあるとか、黒でも喪服っぽく見えないよう考えて着ておられるんです。様々なシチュエーションを自在に楽しむ、関西ならではのスタイルだと思いますね。
…関西=ベタだけではない、阪神間の生活に基づくお洒落ノウハウを、全国区の雑誌に発信されているのがすごいと思います。
飲食でもファッションでも関東の二番煎じのように言われますが、真似ではなく関西独自のもので、決して関東に負けていないと思います。関西で流行るのはそこに皆のツボを押すポイントがあるから。関東とは違う、また大阪と神戸でも違う、その差を拾えると企画になるし、読者にも届くと思いますね。
…ファッションをハブにした美奈子さんの活動の幅はさらに広がりを見せています。その一つに、商品のブランディングのお仕事があります。
商品と消費者をつなぐため、達成したいゴールを分析してアプローチするお手伝いをしています。例えば、美容雑誌でコスメの新製品を紹介する場合、効果、手触り、使い方など、商品要素を細分化して人気の秘密を探っていきます。なぜ、その商品は支持されるのか。そうして蓄積したノウハウを活かして、お子さんのいるママは時間がないので時短できるワンプッシュがいいとか、ガラス瓶はお子さんが遊んでいて割れると危ないとか、消費者が求める要素を商品に盛り込んでいきます。
…まさにコンサルティングですよね。美奈子さんプロデュースの光文社のウェブサイト「kokodeWest」ではオリジナル商品の企画開発も手掛けておられます。私も淡路島のブランドタマネギ「極味(きわみ)」を使った「オニオンブロンゼ」と「野菜チップス」の企画をお手伝いさせてもらいました。
万紀子さんには﹁kokodeWest」のグルメ部門を担当いただき、一緒に有機堆肥で栽培されたタマネギを煮込んで作った調味料を開発しました。自然の甘みとコクで、一瞬にしてシェフの味に格上げしてくれる優れ調味料は皆に使ってほしいおすすめ商品。「kokodeWest」は「自分らしくオシャレして、健やかに食べて、心地よく暮らす」をテーマに、健康で美しくなる、関西でしか手に入らないものを紹介しています。関西からイイものを発信していたいという想いを共有する方々に協力いただき、無事サイトオープンまでこぎつけることができました。
…私たちって、とにかく自分が好きなこと、強く望むことを仕事にしていますよね。色々な方と会って刺激を受け、想いを同じくする人とともに仕事の幅を広げています。
確かに私がこの仕事を続けてきた原動力も、人との出会いだと思います。駆け出しライターの頃、「仕事は“人”とやりなさい」とある人から言われました。仕事を“人”で選ぶなんて恐れ多いと思いましたが、考え方が合う人達と仕事をすると楽しくてモチベーションの根源となる。何かトラブルが発生しても、好きな人達とやっていると乗り越えられますからね。
…美奈子さんの周りには自然と人間的な魅力を持っている人が集まってきますよね。中心にいる美奈子さんは「憧れの八尾さん」的存在。仕事もお洒落もバッチリこなすけれど、実は隙のある姿が時折、のぞき見えるのが可愛いい(笑)。美奈子さんの人をひきつける魅力と、ファッション業界で培ったキャリアは関西の魅力を日本全国に発信し、そしてお洒落マーケットを拡大していく力になると期待しています。
三好さんからの質問コーナー
Q.ハマっているグルメや気になるお店はありますか?
A.カレーが大好きなんです。時間が限られるロケの食事はほぼカレーです。すぐ食べられるのにハズレなしで美味しく、奥が深い。お気に入りは芦屋の「インデアンカレー」、福島の「上等カレー」、日本橋の「カレーやマドラス」。仕事仲間と通いすぎて、先に領収書を用意してくださっているお店もあるくらいです(笑)。
ファッションライター 八尾美奈子
西宮市在住。「STORY」「美ST」「HERS」「Mart」など、光文社の女性誌で活躍中の関西担当フリーライター。紙媒体はもちろん、光文社の通販サイト「kokode.jp」でもファッション記事の執筆を担当。2019年4月10日に同サイト内に新設された「kokodeWest」では関西発の商品レコメンドほか、サイトで取り扱う商品の企画開発も手掛ける。現在はそのネットワーク力、情報収集力、分析力が買われ、新商品のコンセプトデザイン・ブランディングでもひっぱりだこ。
三好 万記子(みよし まきこ)
株式会社ターブルドール 代表取締役
神戸女学院大学卒。パリに3年間滞在中、フランス料理を学ぶ。ル・コルドン・ブルーにて料理ディプロマ、リッツ・エスコフィエにてお菓子ディプロマを修得。帰国後、西宮市・夙川にて料理サロン「Table d’or」主宰。また出張料理人としてケータリングも展開、料理はもちろんディスプレイを含むトータルコーディネートに定評あり。企業へのメニュー開発、レシピ提供など、「食」を幅広くプロデュース。二児の母。