7月号
大学に見る名建築 ② 関西学院大学・時計台(旧図書館)
ヴォーリズによるキャンパス構想の基点
(1) 1階ロビーには愛らしい模様のタイルが敷き詰められている
(2) 赤瓦とクリーム色の壁面。スパニッシュ・ミッション・スタイルの建築様式
(3) 甲山を背景に建つ左右対称の学舎。
時計台は、ヴォーリズによるキャンパス構想の基点に位置づけられる
(4) 建設当時の面影を今に残す
(5) 最上部の塔には、関西学院のシンボルマーク・三日月が掲げられている
(6) 図書館・資料室として親しまれていたが、「関西学院大学博物館」としてリニューアル
(7) 天井に至るまで、細やかな造形美を表現している
写真提供:関西学院
関西学院大学・西宮上ケ原キャンパスといえば、甲山を背景に建つ時計台を含む、左右対称の美しい学舎を思い浮かべる人が多いだろう。瓦の赤と壁面のクリーム色の対比が美しいスパニッシュ・ミッション・スタイルといわれる建築様式で、中央に塔と玄関ポーチ、両端に切妻屋根、正面にアーチ型の連窓を配するこの建物は、アメリカの建築家・ヴォーリズによって設計された。
シンボルともいえる「時計台」は、神戸市・原田の森にあったキャンパスが昭和4年(1929)ここに移転してきた際に、図書館として建てられた。大学全体を一望できる場所にあり、ヴォーリズによるキャンパス構想の基点と位置づけられている。時計塔にあるアーチ上部にはスクールモットー“Mastery for Service”を刻んだエンブレムが、モザイクタイルのドームの天頂には、関西学院のシンボルマークである三日月が掲げられている。ロビーには絨毯を連想させるタイルが敷き詰められ、2階展示室(旧図書館閲覧室)は白塗りの高い天井となっている。
時計台は、平成21年(2009)に国の登録有形文化財に認定。また、長らく図書館・資料室として親しまれてきたが、関西学院大学が創立125周年を迎えた平成26年(2014)9月28日を機に、「関西学院大学博物館」として生まれ変わった。
キャンパスを一望できる中心的位置にあって、関西学院大学の歴史を見つめてきた時計台は、新しい役目を背負い、150周年に向けて歩み始めた。
関西学院大学
(西宮上ケ原キャンパス)
西宮市上ケ原一番町1-155
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