6月号

ひょうご神戸まちかど学だより|歴史と文化を学び続けて半世紀|明石で活動する玉藻会
万葉歌人の代表格、柿本人麻呂ゆかりの明石で、52年にわたり歴史や文化を学び続けている会がある。それは、
玉藻刈る敏馬を過ぎて
夏草の野島が﨑に
舟近づきぬ
という人麻呂の歌にちなんだ玉藻会だ。
会の発足は昭和48年。明石の歴史や文化について知りたいという女性たちが集まり、その一人、胤森(たねもり)幸子さんの父で国文学研究者の芦田邦一先生を講師として、明石市立図書館で万葉集について学びはじめた。芦田先生は『萬葉人の自然観』の著者で、県立明石高校の校長や明石市立天文科学館の初代館長などを歴任している。
それから1年ほど経った後、万葉集の時代背景を知りたいという声があがる。その頃、胤森さんの夫が芦屋高校に勤務していて、その同僚だった田辺眞人先生に依頼。以降、今日に至るまで兵庫・神戸のヒストリアンこと田辺先生が講師を務めている。創立10年の時は記念に香港旅行へ出かけるなど、会の活動も活発に。
芦田先生亡き後は、これまた明石とゆかりの深い源氏物語についても見識を深めつつ、30年間会長を務めた油井よし子さんのもと歴史を学ぶ会としての存在感を高めていった。会場も松本ヤスさんの書道教室や明石市立市民会館会議室などを経て、現在は明石城を望むウィズあかしを拠点にしている。会員は代替わりしつつ一時期約140名を数えたがその後は減少、そこで5年ほど前からは男性も参加可能となり、以前の活気を取り戻しつつある。
現在は50名ほどが8月と12月をのぞいて毎月集まり、うち8回は座学、2回はバスや徒歩でフィールドワークをおこなっている。外でも学ぶというところが、〝街かど学〟の田辺先生らしいところだ。
去る4月22日はウィズあかしで歴史講座が開催され、田辺先生が「グローバル世界の完成─未知なる南方大陸の海域─」をテーマにレクチャー。ヨーロッパ世界にとって長らく未知の領域だったオーストラリア、タスマニア、ニュージーランドが、どのような経緯で発見され、そこにはどんな背景があったかを、古代ギリシャ人の世界観、オスマン・トルコの成立、ルターの宗教改革などとの関係などから立体的に解説した。この歴史の流れに日本も無関係ではなく、ポルトガル人による鉄砲やキリスト教の伝来、江戸幕府の貿易政策、島原の乱とも深く関わっているという話に、会のメンバーは熱心に耳を傾けていた。
玉藻会では随時、会員を募集している。年会費は1万円(フィールドワークなどは別途)で、誰でも入会可能。申込や問合せなどは下記まで。
■玉藻会(清水)
TEL.078-220-8630
mail hatsuuma54@outlook.jp
芦屋文化サロン「雅楽と阪神間の俚謡―阪神間の伝統音楽文化―」
内容 第一部 レクチャー「阪神間の俚謡調査から」
園田学園大学名誉教授 田辺眞人
第二部 篳篥・龍笛・笙の解説と演奏
雅楽演奏:芳村直也・芳村由記・倉内大輝・倉内麻由子 ピアノ:野間由起
■日時 7月4日(金) 13時30分開場・14時開演
■会場 ルネッサンス・クラシックス芦屋ルナ・ホール
(阪急芦屋川・JR芦屋・阪神芦屋各駅より徒歩約8分)
■チケット 前売1,500円・当日(残席がある場合のみ発売)2,000円 ※全席自由
芦屋市民センター事務所、ローソンチケット(Lコード57540)等で発売中
■問合せ 芦屋市立公民館 TEL.0797-35-0700

50年以上玉藻会で講師を務める田辺眞人先生

熱心にレクチャーを聴く玉藻会のみなさん

この日はほぼ満席の盛況ぶり

教室の窓からは明石城を一望
歴史家 田辺眞人のミニレクチャー
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