4月号
里親ケースワーカーの 〝ちょっといい お話〟
番外編:「ボランティア里親」について
「里親」は、親と一緒に暮らせない子どもを育てる児童福祉法に基づくものですが、それよりももっと気軽に子どもと交流する方法があります。土曜・日曜だけ子どもを家に迎える「週末里親」、夏休みやお正月だけ迎える「季節里親」という「ボランティア里親」です。この方法ですと、例えばご夫婦共働きのご家庭でも週末でしたら休みがとれ、子どもと交流できますし、また、子育てを終えられたシニア世代のご夫婦が家に子どもを迎えることも考えられると思います。
児童養護施設で、集団生活をする子どもたちは、なかなか自分だけを気遣ってくれる大人と接する機会がありません。ある神戸の施設で暮らす小学生の男の子は、季節里親の家に初めて行った際、玄関で「ただいま」と嬉しそうに言い、後で里親のもとへ手紙が来て、「おじちゃん、おばちゃん、ぼくを家に帰らせてくれてありがとう」と書いてあったとか。子どもたちは家というものに憧れを持ち、自分だけを迎えに来てくれる大人がいて、どこか帰る場所があるということは、とても嬉しいものなのですね。また施設の子どもたちは普通の家庭というものを知りません。里親家庭で初めて家庭用冷蔵庫を見たという子もいましたし、朝食に昨晩の夕食と同じ食べ物が出たといって驚いた子もいました(施設では衛生上、前の日と同じ食事は出さない)。そういった家庭での普通の生活感覚は、彼らが大人になって自分の家庭を持ったときに大変重要になってきます。ですから里親さんには子どもをお客様のように迎えて特別なことをしてあげるのではなく、普段の生活をそのまま経験させてほしいのです。
ボランティア里親に関しては気軽に協会までお問い合せください。今年のお正月には、神戸市内で約60人の子どもが季節里親さんに迎えられました。現在、神戸市内では約500人の子どもが親と暮らせず施設にいます。全国では約4万人いるといわれています。
お話/橋本 明さん
〈家庭養護促進協会 事務局長〉
社団法人 家庭養護促進協会
TEL 078・341・5046
神戸市中央区橘通3-4-1 神戸市総合福祉センター2階