6月号
実演・セミナー|【特集】ひょうご国
実演・セミナー
高い技術や知識を有する職人やクリエーターによるものづくりの実演やセミナーで、学びの場を提供。
兵庫の地場産業を支える熟練技能者の匠の技を間近で見学。参加者は感動とともに、魅力への理解をより一層深めた。
暖気樽作り実演|実施日:4/26
清酒|兵庫県酒造組合連合会
日本酒の酒母づくりに欠かせない道具「暖気樽」造りの実演。「暖気樽」とは湯たんぽのような器具で、樽に熱湯を入れて酒母を攪拌し、温度を徐々に上げることで米の糖化を促進させるもの。当日は剣菱酒造の中野勝さんが細く割いた真竹を輪っか状に結って、樽の板をしめる様子を披露。経験と感覚で樽の全周を把握した中野さんが10mほどもある真竹をビュンと飛ばしては引き寄せ、ねじり巻きでしめていく。積み重ねてきた経験が成せる技に観客は拍手喝采でした。

日本に10人ほどしか出来る人がいない伝統の技を披露する中野勝さん

剣菱では現在も昔と変わらぬ杉製の暖気樽を使用。時代の流れとともに、ステンレス製や暖気樽を使わない酒造りも増えているそう。左から中野勝さん、司会進行役の鶴田泰子さん、白樫政孝社長
しょうゆの出前授業|実施日:4/27
淡口しょうゆ|龍野醤油協同組合
“淡口しょうゆ”を名産とする龍野からは、しょうゆの原料や醸造方法について知る出前授業を実施。醤油の香りの成分は何種類? 答えはリンゴやバラの香りなど、300種以上の成分が混ざり独特の香りを作り出している…など、クイズ形式で実際に匂いを嗅いだり、材料に触ったりしながら、知識を深めていく。日本の食文化を支えてきた発酵調味料、しょうゆが世界から注目される秘密を探るユニークな授業で、子供達も元気に受け答えして楽しんだ。

龍野醤油協同組合の中田佳幸さん他、ヒガシマル醤油㈱、日本丸天醤油㈱の方が様々な素材を持参して、実験的な授業を実施

大阪から来た家族の男の子はヒガシマル醤油ファン。たつのへ工場見学にもぜひ行きたい!と目を輝かせていた

丹波焼ロクロ実演|実施日:4/28
丹波焼|丹波立杭陶磁器協同組合
丹波焼の郷「立杭」では、850年以上にわたり窯の火を絶やすことなく今も約60の窯元が軒を連ね、生業に勤しんでいる。
当日は3名の窯元が順に電動ロクロを実演。組合で生産している粘土を菊練りしたあと、粘土の塊からお皿や徳利など、次々と形づくっていく様を披露。雨が降り、花冷えする日だったが、大勢の来場者が匠の技術を間近で見学できて感動。「やってみたい!」と挑戦する子どもが登場するほど大いに盛り上がった。

丹波立杭陶磁器協同組合の森本芳弘さん(丹山窯)が最初に実演。軽快なトークとともに匠の技を披露

組合理事長の市野達也さん(市野伝市窯)は「丹波焼について関西圏のみならず、他府県、海外の方にも知ってもらうきっかけになれば」と万博会場での実演に意欲をみせる


揖保乃糸トークショー&無料試食|実施日:4/29
手延素麺・揖保乃糸|兵庫県手延素麺協同組合
夏の風物詩、兵庫県が全国一位の生産量を誇る日本の伝統食「手延そうめん」の魅力を、2024年ミス掃保乃糸の油谷美咲さんのステージトークやアレンジした撮保乃系の試食を通してPR。帯状の麺生地を数本合わせて1本にしたものを、さらに数本あわせて1本に…と繰り返し、熟成を重ね、麺に縒りをかけながら細く延ばしていく手延製法が、瑞々しく、コシがあり、茹でてものびにくい味わいを実現。そんな製法やこだわりを学んだあとは、豪華詰め合わせセットをかけたジャンケン大会。白然の戦いが繰り広げられた。

播磨で600年間受け継がれる伝統の手延べ製法を守ってきた兵庫県手延素麺協同組合。当日は職員の天川亮さんとミス揖保乃糸の油谷美咲さんが場を盛り上げた

試食は揖保乃糸特級品をごま風味のぶっかけつゆでアレンジしたもの。海外からのお客様にも受け入れられやすい食べ方や味で提供することで、日本の伝統食「そうめん」をカジュアルに伝える


柳行李の製作実演|実施日:4/29
杞柳製品|兵庫県杞柳製品協同組合、KORI ANRI JAPAN
「柳行李」とは豊岡で伝統的に作られてきた「豊岡杞柳細工」の代表製品。豊岡かばんの原点であり、1300年以上の歴史を誇る日本の伝統工芸品。コリヤナギを使って柳行李を編む実演をしたのは豊岡杞柳細工ブランド「KORI ANRI JAPAN」の加藤かなるさん。皮を剥いだコリヤナギを組んで板で押さえ、指で1本ずつ上下に分けた間に麻糸を通す。体をかがめて編むのは体力も根気もいる作業であることが、ひしひしと伝わってくる迫力ある実演だった。

7年暮らしたドイツから帰国、改めて日本の伝統文化を見直すことに。旅先で出会った豊岡の柳行李と出会い、地域おこし協力隊員として伝統の技を継承する職人修業を経て、最年少で独立。伝統を引き継ぎながらも、従来の枠に収まらない作品やオーダーメイドにより、業界拡大に注力

真珠の比較|実施日:4/30
真珠加工|日本真珠輸出組合
日本の真珠輸出のうち、約8割が神戸から行なわれ、世界に流通する真珠の大半が神戸で選別・加工されている。実演セミナーでは“真珠の街”として築いてきた神戸の歴史や真珠の価値を決める加工処理について学習。後半は8つのネックレスを用いて評価に挑戦。色や傷、形、照り、サイズなどを見て、触って100万円以上の価値がある真珠、販売基準を下回る低品質なものなど、見分けていく。品質の判断基準を学んで、今後の購入時に役立ててもらうのが目的。


色味や輝き、形、傷、ゆがみなど、いろいろと見比べて判断する実習に参加者は夢中


「真珠は鉱物資源由来の宝石類に比べ、より循環型で環境に配慮した宝飾品。世界的に評価されている持続可能性なジュエリーです」と日本真珠輸出組合の倉本達さんと伊地知由美子さん













