6月号
コラボレーション作品の展示|【特集】ひょうご国
HYOGOの産地×産地
つなぐ、から生まれた新たな産品
2022年からスタートした「ひょうご国」プロジェクトで実現した、兵庫五国の産地と産地を“つなぎ”、誕生した新しい産品を展示。アパレル×播州織のワンピース、神戸アパレル×神戸レザーのジャケットやスカート類、神戸レザー×日本酒のボトルバッグ、豊岡のかばん×神戸レザー、杞柳製品×播州織×神戸レザーのバッグなど、どれも伝統的な技術が現代風にアレンジされた魅力あふれるものばかり。新しい「ひょうご国」の楽しみ方、未来への技術継承および技術開発、進化を続ける兵庫の地場産業が世界に羽ばたく機会となった。

大阪・関西万博を見据えて推進してきたプロジェクト。各作品を通じて兵庫のものづくりの素晴らしさを国内外にアピールし、インバウンドなど観光誘致につなげていく※右の椅子はJOHNNY CHIU氏と神戸レザーとの共同プロダクト

~コラボしたデザイナーや職人が来場!~
【利器工匠具(三木金物)】×【洋菓子】三寿ゞ刃物製作所×パティスリーKuRi
日本屈指の金物産地である兵庫県三木市で三代にわたって包丁をつくる「三寿ゞ刃物製作所」さんとコラボして、ガレット・デ・ロワ専用ナイフを作ってもらいました。包丁職人と鋸職人、パティスリーの私が何度も意見交換して完成。刃の付け方や波刃のピッチ、角度も完璧で、このナイフを使うと断面も美しく、パイ生地にひっかけず、切りクズが出ずにカットできます。自分で砥石を使ってメンテナンスできることも気に入っています。

三木金物の技術がつまったナイフならば、ガレット・デ・ロワもスムーズにカットが可能

パティスリーKuRi
オーナーシェフ栗原栄德さん

HYOGOの産地×海外デザイナー(台湾)
●HYOGO×TDRI(台湾デザイン研究院)
兵庫のものづくりと台湾デザインが融合
昨年、神戸ファッション協会とTDRI(台湾デザイン研究院)は連携事業の覚書を締結。台湾のクリエーターたちが兵庫を訪れ、丹波焼や淡路瓦、神戸レザー、豊岡鞄などの工房を見学。その後、各産地と密接に連携して商品を開発する共創のプロジェクトが進められてきた。今回の万博会場ではその成果展として、兵庫のものづくりと台湾の技術デザインが融合することで創造した新たな作品を発表。作品の一部は10月に台湾で開催される「台湾デザインエキスポ」に展示される。今後も世界への発信を推進していく予定。

プロのデザイナーに加えて、「国立台湾師範大学」の学生や台湾で製造業が盛んな中部「彰化」とも連携。6人のクリエーターによる丹波焼や淡路瓦、神戸レザー、豊岡鞄などの産地とコラボした作品8点を展示
【丹波焼】伝市窯×CN Flower
丹波焼技法と台湾「彰化」の蘭花美学を融合。山野の自然を表現する鉢作りで知られる丹波焼の「伝市窯」が協力し、台湾の著名フローリスト「CNFlower」凌宗湧氏がデザインした陶製器皿。

器皿は4種類のサイズがあり、積み木のように組み合わせて、蘭の成長に合わせた拡張が可能
【丹波焼】伝市窯×晴花鹿苑
台湾で人気のビカクシダの栽培を丹波焼で楽しむ提案として、丹波焼の「伝市窯」と「晴花鹿苑」が共創。植物職人の王音筑氏の監修で実用性と機能性を兼ね備えた丹波焼の植生板が完成。

丹波焼は欠けたり壊れても修復する金継ぎ(写真左)で修復可能。万博のSDGsの精神にもぴったり
~コラボしたクリエーターや学生達が来場!~
【豊岡鞄】モリタ×本質創作室モリタ×Lu+
豊岡鞄の「モリタ」と台湾のクラフトユニット「本質創作室」の李雅靖氏が企画し、フィリピンの職人の手編み技術と「モリタ」の持ち手技術を融合させた三地域連携作品。
豊岡鞄の「モリタ」と台湾のデザイナー「Lu+」の盧津姬氏による「バッグ二つ持ち」スタイルの提案。豊岡鞄はヌメ革を使い、現代的にアレンジ。台湾側は園芸ネット素材を使い軽量かつ大容量のトートに。



「本質創作室」の李雅靖さん
【皮革(神戸レザー)】KIICHI×未來式
台湾のキュレーション企業「未來式」と日本の革工房「KIICHI」がベースボールキャップを共同開発。神戸レザーと、彰化産のrPET100%リサイクル生地を融合させ、機能性と美しさを両立。


「未來式」の汪麗琴さんと「KIICHI」の片山喜市郎さん
【淡路瓦】タツミ×KEV +国立台湾師範大学学生チーム




周育潤さんと国立台湾師範大学学生の文唯聿さん、郭玟慧さん

●HYOGO|播州織×実践大学(台湾)
播州織の文化的精神や風土を表現
台湾の服飾デザイナーで台湾実践大学ファッションデザイン学科の副教授も務めるマサ・タンさんが播州織とコラボして洋服をデザイン。糸から染めて織り上げ、鮮やかな色彩を特徴とする播州織。その魅力あふれるファッションを軽やかにまとったトルソー3体が会場に華を添えた。マサさんは昨年11月に播州織の産地を訪問し、繊細な織り目や美しい色彩に感動。今回のコラボには播州織産元商社の「丸萬」「内外織物」「桑村繊維」が生地を提供した。デザインの軸は自身が尊敬する兵庫県出身の哲学者、和辻哲郎の思想…というがその意図は?(詳細は次号7月号に続く)。

マサさんは文化服装学院を卒業後、日本企業でデザイナーとして活躍。「日本は第二のふるさと」と笑う。

中台湾訪問団に説明をするマサさん

播州織=シャツ生地のイメージから脱却したいとハットやポシェットなど小物もデザイン
中台湾訪問団が来場!
4月28日(月)には台中市政府観光旅遊局局長の陳美秀さんを団長とする30名の中台湾訪問団が来場。今春よりスタートした神戸空港と台湾を結ぶ直行便の新規就航による観光プロモーションの一環。神戸ファッション協会の藤本晋一事務局長による兵庫の地場産業についての説明に皆、真剣に耳を傾けていた。














