2024
11.22

WEB版スペシャル・インタビュー|読売新聞創刊150周年記念
半﨑美子コンサートツアー~「人生案内」と私~
シンガーソングライター 半﨑美子さん

カテゴリ:汎用

 「サイン会でのファンの方たちとの対話はまさに人生案内そのものです」と語る彼女のサイン会でのファンとの交流は、お馴染みの光景だ。そんな〝人間味あふれる〟シンガーソングライター、半﨑美子の全国ツアーが、読売新新聞創刊150周年記念イベントとして開催中。タイトルは~「人生案内」と私~。新聞の読者相談「人生案内」が始まって110年という節目に合わせ、異色のコラボが実現した。大阪公演は11月23日(土)、森ノ宮ピロティホールにて行われる。

初の二部構成で

 「ツアー直前まで構想を練っています。これまでと違った趣のコンサートになりそうです」
 新たに挑もうとするその構想案の一端を聞いてみると、今回は休憩を挟む形で二部構成にするという。
 「第一部では人生案内に寄せられた相談者のお悩みを時代ごとにご紹介し、それに対する回答者のお言葉をお届けします。そしてアンサー・ソングのように、私が選曲した楽曲を披露する形で紡いでいく予定です」と語る。
 そして、第二部の構想はこうだ。
 「人生をテーマにした楽曲で構成するステージを。ラストは、これまで触れたお悩みや回答に導かれるようにして生まれた新曲をお届けしたいと思っています」と教えてくれた。
休憩前と後。一日で半﨑の〝二つの歌の世界〟が堪能できそうだ。
 ツアーは、東京で開幕。以降、岩手、青森、大阪、そしてラストは故郷・北海道。約2カ月間のロングランツアーを11月28日に締めくくる。

原点はファンとの交流

 
「子供の頃からカーペンターズやドリカム(ドリームズ・カム・トゥルー)の歌が好きでずっと歌手になるのが夢でした」
 北海道・札幌で生まれ、幼い頃の舞台は〝家のちゃぶ台〟の上。家族の前で大好きな歌を披露していた。地元の大学に進学するが一年で中退。住み込みで働くことのできるパン屋さんを見つけて上京した。東京で働きながら〝自分の歌う舞台〟を探し続け、出会った舞台がショッピングモールだった。
 「生活に根ざした場所、日常の空間で、歌を聞いてもらえるかもしれない。私が歌いたいのはこの場所だ」と確信し、全国のモールを巡るようになる。
始めた頃には数人の観客しかいなかったモールが、今ではあふれるほどの人が埋めつくし、“ショッピングモールの歌姫”と呼ばれるようになっていた。
 どこにも所属せずに、一人で全国のモールをまわり歌い続けた半﨑。その確かな歌唱や活動が話題となり、2017年にメジャー・デビューを果たす。
 NHKの「みんなのうた」で、作詞作曲した『お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~』が全国に放送され、一躍名前が知られるようになる。
 サザンオールスターズの桑田佳祐や安全地帯の玉置浩二ら、唯一無二の半﨑の歌声に魅了されるミュージシャンが続出。その一人、演歌歌手の天童よしみに2019年、作詞・作曲した『大阪恋時雨』を提供。その年、NHK紅白歌合戦に出場した天童はこの曲を歌った。

〝有言実行〟で夢がひらく

 
メジャーデビュー以来、全国各地の大ホールを満員にしてきたが、「私の原点はあくまでショッピングモール」と、今でも地方の小さなモールを訪れ、歌っている。
 「呼ばれたら、どこへでも駆け付けたい。私の歌を聴きたいといってくれる人がいる限り、どこへでも」
 今回の全国ツアー~「人生案内」と私~の企画へとつながるきっかけも、実はショッピングモールでのサイン会だった。ライブが終わると始まるサイン会では、一人一人の話にじっくりと耳を傾ける。
 「サイン会は、楽しくおしゃべりをする会話ではなく、心と心を通わせて対話する時間です」と話す。
 それぞれ抱えている問題や、切実な胸の内を打ち明けたり、涙ながらに語る、そんな光景が続く。
 「30分のステージの後のサイン会が3~4時間になることもあります」と微笑みながら語るが、それをファンが求め、自分自身、歌う原動力にしてきた。
 一昨年のツアー前に大阪で取材した際、「私には長年の夢があるんです」と教えてくれたことがある。
 「自分よりも自分の歌が長生きしてほしい。そんなふうに時代や世代を越えて歌い継がれるような歌を作り続けたい。そんな思いもあって、教科書に私の歌が掲載されることが、私の夢なんです」
 今年春、それが実現した。
 『地球へ』が小学5先生の音楽の教科書(教育芸術社)に採用されたのだ。
 今回の取材で「本当に実現しましたね」と話すと、「実はあのとき、夢の実現には後10年はかかるかな、と思っていたんですよ」と照れくさそうに打ち明けた。
 メジャーデビューに、自作曲の教科書掲載…など次々と夢を叶えてきた。次の目標は何だろうか。
 「ニューヨークの国連本部でこの『地球へ』を歌うという大きな夢に出会いました」
 壮大な夢だが、なぜこの夢に行き着いたのか、その背景を聞いていて納得がいった。
 「北海道の小学校の同級生が今、国連本部で勤務しているんです。その同級生と話しているうちに〝国連本部でこの歌を届けたい〟と思い始めて…」
 2021年、半﨑は北海道の中・高一貫校、北嶺中・高等学校の青雲寮の寮歌『道なき未知へ』を作詞・作曲している。実は小学校の同級生はこの中・高一貫校の卒業生で、このたびの寮歌を通じて半﨑の歌に出会ったという。
 『地球へ』は2005年に夭逝した歌手、本田美奈子.が自然との共生について書いた散文から思いを受け取って、半﨑が2021年、作詞・作曲し発表したオリジナル曲だ。
 本田の友人である早見優が歌詞を英訳した英語版もある。「最近、英語の勉強も始めました」とすでに〝夢の準備〟は進行中だった。
 世界平和のために、世界の首脳を前に、力強く国連本部で絶唱する半﨑の姿が目に浮かび、その歌声が聞こえてくるようだ…。
 そう伝えると、「続けていれば夢はいつかひらくと信じています」と目を輝かせながら力強く宣言した。
(文・戸津井康之)

公演情報

読売新聞創刊150周年記念
半﨑美子 コンサートツアー
~「人生案内」と私~
日時:2024年11月23日(土・祝) 16:00開演
会場:森ノ宮ピロティホール
詳しくはコチラhttps://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/8708
※チケットは完売しました

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