2025年
12月号
12月号

四角錐に反りを持たせた檜皮葺きの屋根と蔀戸
美しきかな ひょうごの文化財|聖徳太子ゆかり県内最古の木造建築物|第十二回 刀田山鶴林寺 太子堂
「太子堂」は、天永3年(1112)に建てられた兵庫県で最古の木造建築物といわれ、「本堂」とともに国宝に指定されている。天台宗最古の法華堂でもあり、本来は西方にある「常行堂」(重要文化財)と両三昧堂として対をなす。かつて聖徳太子が、播磨の地に身を隠していた高句麗出身の僧・恵便を訪ねてこの地を訪れたとされ、後に聖徳太子を崇拝する様々な信仰が盛んになり、壁に肖像が描かれ、「太子堂」と呼ばれるようになった。
正面の南面と西面の蔀戸(しとみど)が垂直に跳ね上がるのが特徴的。四角錐に反りを持たせた檜皮葺きの屋根には仏教のシンボルマーク「宝珠(ほうじゅ)」が取り付けられ、美しい外観を呈している。
内部正面に礼堂があり、奥が3間4面の内陣、天井はぜいたくな小組格天井になっている。すすで覆われて肉眼では見ることはできないが、創建当時の壁画が昭和51年(1976)、赤外線写真によって発見された。聖徳太子の肖像画、「須弥壇(しゅみだん)」後方壁面の表面「九品来迎図(くぼんらいごうず)」、裏面「涅槃図(ねはんず)」は重要文化財に指定された。内部は非公開だが、宝物館に展示されている須弥檀模型で見ることができる。
刀田山鶴林寺の起源は587年までさかのぼり、建築・仏像・絵画・工芸など、国・県・市指定の貴重な文化財が数多く所蔵されている。

四角錐に反りを持たせた檜皮葺きの屋根と蔀戸

屋根上にある宝珠は、災難を除き、仏教においては仏や仏の教えの象徴とされている

内部を再現した須弥壇模型。宝物館内に展示されている
刀田山鶴林寺・太子堂
加古川市加古川町北在家424
TEL.079‐454‐7053
入山料 500円
宝物館拝観料 500円
入山・宝物館セット 800円
拝観時間 9:00~17:00
(入山16:30まで)












