9月号
廃校利活用の複合施設 NATURE STUDIOに 「食べる植物園」と「みなとやまベーカリー」が オープン
食べて学んで自然とふれあう
斬新なボタニック体験を
旧湊山小学校をリノベーションし、「みなとやま水族館」を核にハーブショップ、フードホール、ブルワリーなどを展開するNATURE STUDIOに7月26日、新棟と新施設がお目見えした。
新棟は施設内の西側に竣工。その1階にオープンしたレストランは、エディブルプランツ(食べられる植物)など人間が暮らしに取り入れられる植物に包まれる空間。吹き抜けに植えられたシンボルツリーはクローブの原料となるシジギラムで、鹿児島、指宿の山からこのたびこちらに移したとか。
ほかにもコーヒーやライチ、パイナップルなど知っているけれどどう育っているのかは知らない植物が並んでいる。そんなユニークなダイニングでは、ここの庭で摘んだハーブや西区のナチュラリズムファームの自然栽培野菜をふんだんに使用した料理が味わえ、パンのブッフェも満足感が高い。




野菜はもちろん、ハーブなどのエディブルプランツがガーデンを彩る。
こだわりの自然栽培野菜をふんだんに使用したお料理をプレートで
2階にはキッチンがあり、ここではハーブショップの店長にして、「ハーブの魔女」と呼ばれているハーバリストの伊藤友美さん監修の体験メニューが楽しめる。屋外に出て実際に探して摘み取り、オリジナルのハーブボードを作成すれば新たな発見も。ハーブティーの試飲も嬉しい。他にもハーブソルトやハーブオイルづくり、庭の果実を収穫してのジャムづくりなどの調理体験も可能。単に面白いだけでなく、植物に関する知識を深めることもできる。
これらレストラン、キッチン、そしてエディブルプランツをはじめとする有用植物が根を下ろすガーデンを複合的に「食べる植物園」として位置づけている。「自然をいただく」をコンセプトに、育てる、ふれる、食べるという五感に染み入る体験を通じて、ボタニカルな心地よさと癒やしに耽ることができるのが、ここの得難い魅力だ。ここはかつて平清盛の邸宅「雪見御所」があったとされる地だが、栄華を極めた権力者でもこんな粋な趣向を味わってはいないだろう。



2階にはキッチンがあり植物にふれる体験ができる施設に。ハーバリストの伊藤友美さん監修による、ハーブティーの試飲をはじめ体験メニューも充実




シンボルツリーはシジギラム。店内でもパイナップルやパッションフルーツなどの季節の果実がなる。レストランの壁面を彩るコーヒーの木には実際に実がなっているなど、園芸家の藤田毅さんがプロデュースを行う
さらに、敷地に入ってすぐの場所に「みなとやまベーカリー」が開店。散策と湊山のやまなみをイメージしたロゴデザインの通り親しみやすい雰囲気。そのロゴにも似た山食パンも、水族館のカメをモチーフとしたメロンパン「亀パン」も、熟練のブーランジェが手仕込み。地域の人たちがお散歩がてらに普段使いできる街のパン屋さんとしてはもちろん、ドリンクと一緒にテイクアウトしてテラスでいただくのも心地良い。






1階にオープンした「みなとやまベーカリー」。水族館のカメをモチーフにしたメロンパン「亀パン」など熟練のブーランジェが手掛ける。「食べる植物園」レストランのメニュー開発を担当する株式会社ワールド・ワン企画開発部の川島直之さん
2階には介護と看護を一体化した看護小規模多機能型居宅介護を開設予定で、ショートステイの受け入れも計画中。また、2階のバルコニーから1階に降りるすべり台もあり、キッズの人気を集めそう。窓の外に遊ぶ子どもたちの元気な姿や声は、高齢者たちにとって何よりの〝心のハーブ〟になりそうだ。




魚の飼育と野菜の水耕栽培を組み合わせた農法「アクアポニックス」にも取り組む。「食べる植物園」を含めNATURE STUDIOの運営を担うのは(有)リバーワークスの上戸了子さん(上)と事業主体(株)村上工務店の村上豪英さん(下)
これでNATURE STUDIOの全体像がほぼできあがってきたことになるが、事業主体である村上工務店の代表取締役、村上豪英さんは「地域全体を元気にするきっかけになるよう、今後も進化させていきたいですね」と語る。自然と人、街と人、そして人と人の距離を近づけるコミュニティの中心として、これからも多くの賑わいを生みだし、さまざまな発信をおこなっていくことだろう。
NATURE STUDIO 食べる植物園
神戸市兵庫区雪御所町2-15
TEL 078-977-7400(レストラン)
TEL 078-977-7210(キッチン)
営業時間
■レストラン
11:00~19:00(18:15L.O.)
無休(年末年始休)
※予約は平日のみ可
■キッチン
10:00~16:00(最終受付 15:30)
土日祝のみ営業












