6月号
城田優が思う、LOVE &PEACE VOL.3
歩き出した、夢の種
前回お話しした『夢の種~I’ll be by your side』をリリースするにあたって、ジャケットを描いてほしいアーティストたちがガーナにいました。美術家・長坂真護さんが取り組んでいるアート活動『スーパースターズ』のメンバーです。ガーナのスラム街で、生きることさえ困難な人たちが、絵を描き、夢を見ている。彼らの存在と活動を知った時、大きなショックを受けました。
長坂さんは、先進国の電子機器が不法投棄されるガーナのスラム街で、廃棄物を使って作品を制作しています。売上を雇用に繋げて、環境も貧困も救うという目標をもっています。そして、子どもたちの心と生活に潤いを分け与えています。自分ができる仕事で誰かの役に立つ。僕が考えるかっこいい大人です。
長坂さんは、子どもたちに僕の歌を聴かせてくれました。そして彼らは、歌から受けたインスピレーションを絵にしてくれました。
それはただの「絵」ではないと僕は思っています。夢を応援する歌に、さらに多くの夢が重なった。まさに「夢の種」です。
そうして昨年秋、小さかった夢の種は少し大きくなってデジタル配信、僕のもとから歩き出しました。
最初から大きな計画があったわけではありません。僕の提案に賛成し助けてくれるスタッフ、きっかけをくれたbillboard classicsも動いてくれています。まわりの人たちがいて大きな力になったから、仕事として進んでいます。本当に感謝。この場を借りてありがとう。
現在の音源は、宮本さんのピアノと僕の歌だけど、伴奏だけの音源も作ろうか。楽譜もほしいな。合唱曲になるのもいいな、子どもたちが声を合わせて歌ってくれたら幸せだな。学校の吹奏楽部が演奏してくれるとか、そんなふうに広まっていったら素敵。音楽、エンタメを目指している人の「夢の種」になるといいな。
どんな花が咲くのか、どんな枝になるのか、想像はしてるけど、計算してゴールを決めたりしない。僕が作ったとか、僕の思いとか、そんなことも重要ではない。10年後、夢を見る誰かの役に立っていたら、それでいいと思う。
これまでも曲は作っていたし、これからも作ります。でもこんなふうに、僕に夢を見させてくれる曲はほかにはないかもしれない。
もうひとつ言うと、僕は歌うことでまっすぐな思いを伝えたいから、「音源をいじらないでほしい」とお願いしました。皆さんもご存知だと思いますけど、音を外しても、声が出ていなくても、いくらでもキレイにできるんです。プロだって、毎回、すべてが完璧じゃない。人間だから。でも、そこをいじっちゃうのは違うと僕は思ってる。キレイに整えることで、歌に込めた気持ちから、大事な何かが壊れていく気がしています。
この歌が、この先どこで歌われるのか、どんな人が歌ってくれるのか、楽しみで仕方がないのです。

billboard classics × SNOOPY『Magical Christmas Night 2024』













