11月号
ウクレレジプシー(MONGOL800 キヨサク)が
神戸新開地・喜楽館に はいさい ちゅーがなびら!!
9月15日、神戸新開地・喜楽館は満員御礼。美空ひばりの「アロハ・オエ」のカヴァー曲から始まり、オリジナル曲、トリビュートと、約2時間弱のライブで20曲以上を披露。最後は客席のこどもからのリクエストにこたえ、アンパンマンのマーチも歌った。老若男女、キヨサクの歌声に安堵し、心地の良い穏やかな時間をすごした。リハーサル前のキヨサクさんを訪ねて楽屋にお邪魔しました。
インタビューアー・前田香起理
撮影・服部プロセス
キヨサクと新開地
─『東の浅草・西の新開地』といわれているこの喜楽館でのオファーが来たときの気持ちを教えてください。
もう、ベストな場所がきたなと、ハハッ。モンパチとは別でウクレレジプシーでソロでやらせてもらっているんですけど、わりとライブハウスでやりたいというよりかは、例えばレストランとかギャラリーとか、バーだったり、ちょっといつもと違う場所でよくやっている。それが逆にいうとイレギュラーであればあるほどうれしいですし、その土地土地の、やっぱあるじゃないですか味があるところというか、そういう所のほうが逆に嬉しいのが、素直な感想でしたね。
─新開地はご存知でしたか。
新開地は知ってます。何回か来てるんですよ飯食いにとか。ぶらぶらしている時に、ここが神戸新開地・喜楽館でって話はしていたような。まさかここでライブやるとは。
─キヨサクさんが今日の告知をインスタグラムで投稿された途端、すぐにチケットが完売。フォロワーさんからは「歌舞伎?落語?」「ウクレレで落語をやるんですか?」地元の人からは「ウクレレ漫談の人が来る」という声が。神戸新開地・喜楽館でするウクレレジプシーでは何か意識したものは。
ハハハ。そう言われると…。ねぇ。逆に言うとギャップを楽しんでもらいたいなと思うし、いい意味での違和感というよりは、言えばウクレレ漫談もね、そこにあるわけですから。
─今日はどちらをされるのかなっていう、ちょっと期待もありますけれども。本日のセットリスト、選曲した想いを。
基本、その場その場で。例えば起承転結、頭と真ん中と後半だけは何となく決めて、間はお客さんの雰囲気とかを見ながら。目星だけつけて、始まってしまうとすぐ終わっちゃうので、あとであれもしたかった、これもしたかった〜で終わっちゃうとかよくあるんですよ。
UKULELE GYPSYとMONGOL800と沖縄
─ウクレレジプシーはソロ名義で、MONGOL800ではベースボーカルとしてご活動をされていますが、それぞれに対する想いや、音楽表現などの違いはありますか。
意識はしていないんですけど、最近例えば曲作りでもウクレレを使ったりするんですよ。だからいい意味でモンパチにも反映されているし。ウクレレで作った楽曲をモンパチにもっていって、テンポを上げて変えてみたり、その逆もしかりでモンパチで作った曲をウクレレでテンポを落として、しっかり聴いてもらえるように。その行ったり来たりなんですけど。表裏一体ではあるんですけど、陰と陽、静と動じゃないですけど。そういう感じは見た目にもあるしね。ウクレレでしっぽりっていうのもね。
─そうなんですね。てっきりあるのかと思ってました。棲み分けが。
割りとしてないですね、元々弾き語りやモンパチでバラードの曲もありますし。そういう意味では棲み分けはしてなくて。ただやっぱりね、沖縄からの移動とか単純に物理的なことを考えると、なるべく身軽に。が、ポリシーになってくるというか(笑)、おのずと全国をまわるなら。でもそういう時にはウクレレという楽器がもってこいで、ギターでも多分いいんですけどね、やろうって思えば。ウクレレってみんなそんなに意外に聴いたことないっていう人たちも多くて。一気にその空気感とか、世界観をころっと変えてくれる楽器だと思ってるんです。
─MONGOL800の曲もキヨサクさんの曲も、ネーネーズが歌う方の平和の琉歌も…。やっぱり音楽ってすごく力があって、メッセージ性も強くて。キヨサクさんの沖縄への想いを、音楽をとおしてすごく聴きたくて。
そうですね。生まれ育った島ですし。生まれた時からね、右向けば基地があって、左向けば…上向けばっていうね。そういう状況があるので、僕らがどうこうするっていうよりは生活の中の一部だったので。フラットには受け止めていて。例えば俺らが叫ぶよりもっと前にいろいろな人が叫んでるわけじゃないですか。それでも変わらない状況がある中で、じゃあ何をしたらいいのか。音楽にとっての役割を考えると、そこに住む人たちの生活の一部に、ちょっとした背中押すじゃないですけど、一日元気でいられるスイッチを“音楽”で付けてあげるってくらいのスタンスではありますね。ビートルズのジョン・レノンが叫んでも、忌野清志郎が叫んでも、変わらない世の中じゃないですか。そこで俺らが同じように叫んでもっていう、その違いはちょっと見出さないとな、とは思ってます。より生活に近いというか、声を届けたいかなぁ。
素晴らしき世界 〜What a Wonderful World〜
─キヨサクさんがウクレレジプシーで今後やっていきたいことや伝えたいことを。
ずっとずっと自分に対しても言っているんですが、セカンドアルバムを制作中。といいながら、もう5年ぐらい経ってて、ハハハ。もうほぼ8割できかけているんですけど。なかなか締め切りがないと自分の仕事なので、ソロワークはどうしても後まわしになってしまうかな。いよいよ作るぞっていうのと、こうやって全国各地にお友達がいて、じゃあここでライブしてよっていう声かけで僕らも企画ができるようになってきているので、ウクレレジプシーとして、ちゃんとツアーでやってみたいなというのはありますね。今はどうしても合間に時間ができて、そこでようやくライブを組んでっていう感じなので、ウクレレのツアーをしっかりやってみたいな。
─今年はMONGOL800で12年ぶりの島ツアーも行われましたね。今後のイベントの告知を。
普段は2年にいっぺんやっていたモンパチのフェス「What a Wonderful World‼」を25周年以降も毎年やることに決めて。その1年目が今年。25周年やってようやくこのイベントを自分たちのライフワークにしてもいいなと思えてきたので、ここから毎年頑張っていきたい。その初年度みたいな感じなので、是非遊びに来てもらいたいなと思います、神戸っ子の皆さんにも!
─最後に、キヨサクさんから神戸っ子へメッセージを。
神戸っ子の皆さんに、メッセージという名を借りて。僕めちゃくちゃ洋食が好きだし、神戸に点在するスタンドみたいな、飲み屋さん。そういうのがもう大好きなんですけど、キヨサクさんにぜひ、ここは行けっていう逆メッセージを神戸っ子にいただきたいなと思います。羨ましい限りですよ。あんだけ洋食屋があって。うまい洋食を食った時ほど安心することないじゃないですか。カレーとかはもちろん好きで、あれは軽食だとして。洋食をちゃんと食わしてくれるってやっぱりね、安心するんですよ。神戸っ子のみなさんよろしくお願いします!
神戸新開地・喜楽館
神戸市兵庫区新開地2丁目4-13
https://kobe-kirakukan.jp/
『What a Wonderful World!!24』
上江洌 清作(うえず きよさく)
1981年沖縄県生まれ。MONGOL800のVo&BASS、作詞・曲を担当。The NO PROBLEM’s/上江洌.清作&The BK Sounds!!/UKULELE GYPSYなど音楽活動も幅広く、他アーティストとのコラボや楽曲提供、プロデュースなども手掛ける。
キヨサクさんのインスタ