1月号

THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦|知と美 Vol.1
江戸の浮世絵を近代へと継承する「新版画」を世に送り出した渡邊庄三郎。明治35年(1902)、日本美術商・小林文七が横浜に開店したばかりの外国人だけを対象にする美術店に17歳で勤め、ここで浮世絵と出会う。中でも、摺り道具「バレン」を使う木版画特有の美しさに魅了され、西洋の写真や印刷技術の導入で明治以降は衰退の一途をたどってきた多色で摺られた華やかな木版画「錦絵」の復興と、新しい木版画制作を志した。
明治42年(1909)、東京・京橋(大正14年に西銀座8丁目に移転)に「渡邊木版画舗」を構えて販売を行うかたわら、浮世絵の技術や画材の知識を培い、オーストリア人画家のフリッツ・カペラリの作品版画化を試み、浮世絵師・日本画家の鏑木清方門下生を中心にした新進気鋭の画家たちとともに、高い芸術性を意識した新しい木版画に取り組んだ。江戸時代に確立された絵師・彫師・摺師の協業体制を踏襲しつつ、高品質な材料を用い、それまでにない複雑かつ華麗な彩色に「ざら摺り」などの手摺りならではの技法を駆使し、創意工夫と優れた審美眼に支えられ、新版画の世界を築き、昭和の初めに国内外で巻き起こる〝新版画ムーブメント〟の火付け役となった。
特別展は、新版画の技術と精神を、専属の職人の手で今なお受け継ぐ渡邊木版美術画舗の全面的な協力の下で開催される。庄三郎とともに新版画の確立に携わった川瀬巴水、平野白峰、さらに、旅で訪ねた東京で庄三郎と出会い新版画の制作を始めたイギリス人画家のチャールズ・W・バートレットなどの作品の中から、残存数少ない貴重な初摺渡邊庄三郎版を展示。新版画の魅力についての講演や新版画摺りの実演も実施予定で、モダンな精神に彩られた瑞々しい表現の世界を体感できる。

チャールズ・W・バートレット《神戸の雨中》大正5年(1916)
渡邊木版美術画舗版/㈱渡邊木版美術画舗蔵

川瀬巴水《東京二十景 芝増上寺》大正14年(1925)
渡邊木版美術画舗版/㈱渡邊木版美術画舗蔵

平野白峰《対鏡(鏡の前)》昭和7年(1932)
渡邊木版美術画舗版/㈱渡邊木版美術画舗蔵
THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦
1月31日(土)~3月29日(日)
神戸ファッション美術館
KOBE FASHION MUSEUM
■神戸市東灘区向洋町中2-9-1
■TEL.078-858-0050
■休館日 月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)
■開館時間 10:00~18:00(入館は17:30まで)












