9月号
神戸市医師会|災害時メディカルチーム|「D-KOMET」が発足
阪神・淡路大震災の教訓を胸に発災直後から市民を守る
頼もしい災害医療チーム
7月31日、神戸市医師会災害時神戸メディカルチーム「D-KOMET」隊員発足式が神戸市医師会館で開催された。
D-KOMETとは災害時神戸メディカルチームを意味するDisaster-Kobe Medical Teamの頭文字をとった愛称だ。30年前の阪神・淡路大震災を教訓に災害医療体制が整備され、発災からおおむね48時間以内にDMAT(災害派遣医療チーム)が被災地に入り活動し、その後JMAT(日本医師会災害医療チーム)に引き継がれて徐々に日常の医療へと移行するという流れが一般的になっている。しかし、今後30年以内に70~80%の確率で発生すると予測されている南海トラフ地震の際は、静岡県から宮崎県にかけての広範囲で地震や津波による影響が想定され、中でも和歌山県や高知県など太平洋に面した地域に甚大な被害があると見込まれており、DMATなど他地域からの災害医療支援チームはそちらの方に優先的に投入されて、兵庫県や神戸市へは手が回らない可能性が高い。そこで、地元の医療関係者が自助的に災害医療に取り組むべくこのたび結成されたのがD-KOMETで、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士、医療事務など7月末現在で330名の医療従事者たちが隊員登録している。
発足式ではまず、神戸市医師会の堀本仁士会長があいさつし、D-KOMETが必要とされる背景や設立までの過程を説明しつつ「より実効性の高い組織にしていきたい」と抱負を語った。
続いて神戸市医師会の妹尾栄治理事がD-KOMETの概要についてプレゼンテーションをおこない、その三本の柱として行政との一体化、区単位の多職種連携体制の確立・備え、迅速なチーム編成の仕組みを挙げて大枠を解説するとともに、具体的な業務内容などについて詳しく述べ、これまで実施してきた研修会や訓練の様子も紹介した。
来賓からも祝辞があり、兵庫県医師会の八田昌樹会長は「災害関連死を少なくすることも重要。JMAT兵庫とも一緒に訓練や会議をおこなって先に進んでいければ」と語った。
前述の通りD-KOMETの活動には行政との連携が不可欠だが、行政側からは神戸市保健所の楠信也所長が神戸市の災害対応についてプレゼンテーションし、D-KOMETにより軽傷者の救急をおこなう救護所体制が強化されると解説。「今後も継続して合同防災訓練をおこなっていきたい」と展望を語った。
そして堀本会長より隊員各位に任命書が手渡され、D-KOMETを代表し中央区医師会統括の小川達司氏が「市民の安心、安全、健康を守るべく速やかに活動する所存です。みなさんで神戸を守っていきましょう!」と発足の発声をおこなうと、会場は万雷の拍手に包まれた。
その後和やかなムードで記念撮影がおこなわれ、最後に神戸市医師会の荒木邦公副会長が改めてD-KOMETの意義を語り、「隊員を増やし、災害対応病院や行政とタッグをしっかり組みながら頑張っていきたい」と締めた。



神戸市医師会・堀本仁士会長

神戸市医師会・妹尾栄治理事

兵庫県医師会・八田昌樹会長

兵庫県災害医療センター・石原諭センター長

神戸市立医療センター中央市民病院・安田義主席副院長

神戸市健康局・熊谷保徳局長

神戸市保健所・楠信也所長

中央区医師会・小川達司統括

神戸市医師会・荒木邦公副会長













