12月号
城田優さん、神戸市外国語大学で講演会。
「僕が考える、明るい未来のための“多様性”」
本誌11月号『物語が始まる』でお話しいただいた俳優の城田優さんが、神戸市外国語大学にて講演会を行った。この講演会は、多様性を考える機会として学生が企画、日本人の父とスペイン人の母をもち、2つの国で育った城田さんに依頼したことが始まり。
講演会前に行われた企画したメンバーとの交流会では、「文化祭に呼ばれたことはあっても、講演という形で学生に話をするのは初めて。こういう機会が欲しかった」と笑顔を見せた。参加者一人一人の話に耳を傾け、会話を楽しんでいる様子の城田さんに緊張気味だった学生たちもリラックスし、悩みを打ち明ける学生も。
講演には約350人が参加した。「“多様性”という言葉を耳にするようになったけれど、マイノリティ側でもあった自分にしか話せないこともあると感じていた」と、城田さんは、スペインと日本で暮らした子供時代の困難、そのルーツから受けた苦労、大人になり俳優という仕事を得てからのエピソードをストレートに語り、力になった言葉や考え方も伝えた。
好きな言葉としてあげたのは『LOVE&PEACE』。そして『que será, será(ケ・セラ・セラ)』。この言葉の意味をこう解く。「“なるようになるさ”と訳されて、ちょっと諦めのように聞こえるけれど、母から聞いた本来の意味は違う。“たった1回しかない自分の人生だよ”、“自分らしくいていいよ”という、むしろポジティブな応援の言葉。スペイン人がよく口にするこの言葉を、僕は心に大事にもっている。どうか皆さんも自分らしく、自分にもLOVEをもって生きてください」。
最後の記念撮影では、静かに話を聞いていた学生たちが一斉ににぎやかに城田さんのまわりに集まった。「静かすぎて不安になってた。よかった、聞いててくれたんだね!」
講演後、城田さんは「学生たちは真剣に未来を考えている。僕の話が少しでも若い人の力になるなら今後も学生たちと話したい」と語った。
講演の様子は、神戸市外国語大学の公式YouTubeチャンネルにて公開中。
城田 優 (出演・演出)
2003年に俳優デビュー。以降、テレビ、映画、舞台、音楽など幅広く活躍。近年の主な出演作に、NHK連続朝のドラマ小説「カムカムエヴリバディ」(語り手)、Amazon Primeドラマ「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」、映画「コンフィデンスマンJP英雄編」等がある。舞台では2010年にミュージカル「エリザベート」で第65回文化庁芸術祭「演劇部門」新人賞、2018年ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』で第43回菊田一夫演劇賞、2021年ミュージカル「NINE」で第28回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞するなど数々の賞を受賞。2016年に「アップル・ツリー」で演出家デビュー。2023年7月ミュージカル「ファントム」で、主演・演出、助演シャンドン伯爵役の三刀流に臨む。
公式サイト https://shirota-yu.com/