1月号

「神戸洋服」本家・本流|明治元年から継承している 唯一のテーラー|㊎柴田音吉洋服店
テレビ、新聞、雑誌などメディアで取り上げられ、ネットでも地道に発信を続けてきた柴田音吉洋服店。五代目店主の柴田音吉さんに詳しいお話を伺いました。
起業明治元年
㊎柴田音吉洋服店
ハンドメイド ビスポーク・テーラー
―最近はネットを通じて来店する方が多いそうですね。
柴田音吉洋服店ホームページのコンテンツを2019年以降、更新してきました。多くの方が検索をした上で問い合わせ、全国からご来店をいただいています。昨年9月には、GoogleのAIによる概要で「日本最高のテーラー」に認定されました。チームマーケティングとして高い技術を持つテーラーグループである老舗テーラー4社(当社が代表幹事店)での「センチュリー・テーラーズ・クラブ®」。個別のテーラーとしては柴田音吉洋服店が表示されます。認定基準は歴史と伝統があり、多くのトップリーダーから支持されてきた実績があること。さらに技術力については、長年工場長を務めてきた技術者は神戸マイスターであり、現代の名工にも選ばれ、黄綬褒章受章、ビスポーク・テーラーの国際コンクールでMVPを獲得するなど揺るぎ無く伝統の技術を受け継ぎ、後進の指導にも努めてくれています。国際的評価という項目に関しては、三代目柴田音吉はフランス政府から、五代目が英国王室から勲章を頂いており、それらが認められたものだと思います。そして最も嬉しく思っている認定要因が、独自性です。

㊎柴田音吉洋服店
三代 柴田 音吉さん (5代目店主)
―独自性とは?
ロンドン・サビルロウの英国調スーツを源流とする近代洋服の日本人初のテーラーが初代・柴田音吉です。英国人カペルのパートナーとして居留地に店を開き、カペルよりサビルロウの製図と仕立てのマスター・ライセンシーを与えられた唯一の日本人として、明治元年から近代洋服を継承してきました。戦後、「神戸洋服」と呼ばれるようになりました。
―神戸洋服誕生の経緯は?
仮縫い後、一人の職人がハンドメイドで全て縫う【=丸縫い】が基本で〝ハイカラ〟で〝軽くて着やすい〟ことが最も重要な要素です。ジャケット胸部の芯地には副素材は用いず、良質の毛芯のみを使用し、同時に胸にボリューム感を持たせる伝統・格式ある「LITE-COMFORT1947Ⓡ」仕様。令和2年夏、ブランドとして商標登録され、150年以上改良を重ね継続されてきた仕立て方法は平成24年、実用新案登録が最重要評価として特許庁に受理されています。その上で、秘伝の縫製テクニックを用いることで軽くても決して型崩れはしません。これが〝軽くて着やすい〟神戸洋服の原点です。五代にわたって当店が守り続けてきた本家・本流「神戸洋服」のプライドを守るのはもちろん、地場産業として洋服を通じて神戸の魅力を発信していきたいと思っています。
―時代の流れやお客様の要望にも応えてこられたのですね。
1960年代、盛夏服で軽さと涼しさの極限を実現したのが「COOL SUITⓇ」です。ポケットはアウトポケットで、胸部の芯地の一部に毛芯のみを使用、裏地を上部のⅤゾーンのみとし、重量を感じさせないエアー・ウエイト。令和元年夏に商標登録されています。さらに、COOL SUITをご愛用いただいているお客様からの「冬も軽量スーツを着たい」というご要望に応えてエレガントでスタイリッシュな「LITE-FIT」を考案しました。肩に負担を掛けない軽さと美しいデザインを兼ね備えて平成21年秋にデビュー、23年春に商標登録されました。
―神戸洋服は、女性にも好評なようですね。
女性が上質な洋服を作りたくてもオートクチュールのお店が少なくなりました。困っておられるようです。以前から、会社経営者や医師など常連のお客様とご一緒に来店されていた奥様が、ご主人様の軽くて着やすい洋服を着用して「私もぜひ作りたい」とおっしゃってスーツやジャケット、コートなどを誂えられるケースはしばしばありました。最近はネット検索して連絡して来られる女性も非常に多くなってきました。「リクルートスーツを作りたい」「子どもの入学式に着たい」など理由はいろいろ。インターネット関係会社エンジニアのKさんもその一人で、「友人の結婚式に出席するのでスーツを作りたい」というご要望で来店し、「とってもステキなスーツを皆さんに知ってもらえるのなら」と撮影協力も快諾いただきました。(写真1・2)
ミセス(不動産会社社長令夫人のスーツ)には、ソフトでストレッチ性のある服地をおすすめしています。(写真3・4)

―そろそろ新春のスーツを新調する時期が近づいていますね。
ところが最近、日本に四季がなくなり、夏と冬の二季になりました。春という季節が短くなり、秋口まで着用できる軽くて、春先から涼しいジャケットが欲しいという多くのご要望を頂きます。そこで、COOL SUITから余分なものを取り外して、かつ型崩れしない「ウルトラ・ライト・クールスーツ&ジャケット」を開発。肩パットは入れず丸みを付け、ポケットを最小限にしました。「新年早々、春夏服?」と思われるかもしれませんが、お客様の一着、一着が職人の手作業によるフルオーダーですので、最低でも1.5~2か月はお待ちいただくことになりますので、早めにご提案しています。

「ウルトラ・ライト・クールジャケット」(素材/リネン)

「COOL SUITRⓇ」(素材/クールウール)
テーラーで洋服を仕立てるのは男性、従って、明治時代の伊藤博文から始まり各界の名士(男性)がスーツを誂えるというイメージを持っていました。今回は〝軽くて着やすい〟音吉さんの洋服を初めて着用させていただきました。あまりの軽さに驚きました。普段使いにはファストファッションもいいけれど、「ここぞ!」という勝負服には、良質で上品な神戸洋服をお勧めします。オンとオフの使い分けができて、TPOをわきまえた女性はステキに輝くはずです。












