ため政府では、所得に応じて患者さんにももう少し負担してもらうべきではないかと議論されてきました。―実際に自己負担を引き上げる案が出たのですか。片嶋 はい。2024年に示された最初の改正案では、所得区分を細かく分けながら、自己負担限度額を段階的に引き上げる内容ではありましたが、所得によっては、それまでと比べて負担額が7割以上増えるケースも想定されていました。このため、がんや難病の患者団体などから「治療を続けられなくなるのではないか」「患者の声を十分聞かずに決められている」と強い反対があり、2025年3月にいったん全面的に見送られました。その後、患者団体の代表も参加する専門委員会で改めて議論され、見直し案が作られました。当初案より自己負担の引き上げ幅は抑えられ、長期間にわたって高額な医療を受ける患者さんを守るため新たに3割負担なら窓口負担は30万円ですが、高額療養費制度を利用すれば、実際の自己負担はおよそ8万7千円程度に抑えられ、残りの部分は医療保険から給付されます(図1)。政府・厚生労働省もこの制度を、国民皆保険制度を支える重要なセーフティネットと位置づけています。─なぜそれがいま見直されているのでしょうか。片嶋 大きな理由の一つとして、高額な医療が増えていることが挙げられます。近年はがん治療をはじめとして、非常に効果の高い新しい薬が登場していますが、その一方で、一人の患者さんにかかる医療費が1000万円を超えるような高額なレセプトも増加しています。また、少子高齢化で医療保険を支える現役世代が減少する中、保険料負担をどう抑えるかという問題もあります。その(図1)高額療養費の自己負担限度額(70歳未満)の例91
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