米国に偏重した物品輸出ベトナムは米国に対する貿易黒字国であり、それがトランプ関税発動の契機となりました。またベトナムからの中国製品の「迂回輸出」を米国は警戒しています。私はこれまで、政治的安定をベトナムの投資上の強みとして指摘してきました。一方、米国の通商政策は予測しにくくなっています。図表1によれば、輸出総額の32・2%を占める米国の存在が大きい。不確実性の高い米国からの「リスク分散」のために先進国ではオランダ・ドイツ・英国に輸出拡大の余地がありそうです。欧米に対する堅調な輸出拡大図表2における2020年から2025年にかけて、米国向け輸出は約99%、英国向けは約69%、EU向けは約60%増加しました。日本向けは約39%増にとどまっています。2026年上半期の米国向け輸出は864・8億ドルに達し、単純年率換算では前年を上回ります。もちろん輸出額だけで関税の影響がないとは判断できませんが、対米輸出は好調です。なお、2023年の米国向け輸出総額の大幅な減少の理由は躍動するアジアベトナム元気米国トランプ政権はベトナムに対して46%という関税を昨年4月に発表しましたが、ベトナム政府の外交交渉で同年10月に20%、現在は原則12・5%の税率になりました。しかし以前よりも税率は高くなり、米国に対する「貿易摩擦」が解消したわけではありません。そこでベトナムでは欧州向けの輸出拡大が次の課題となるでしょう。その場合、すでに中国や韓国の海運会社が運航を始めた「北極海航路」が注目されます。文・ 上田義朗X第35回トランプ関税後のベトナム輸出動向――「北極海航路」の可能性――【出所】ベトナム税関統計資料【出所】ベトナム各種関係資料から収集。【注】サービス輸出は含まない。図表1 ベトナムの物品輸出上位国(地域):2025年図表2 欧米日向けのベトナム輸出総額の推移(単位:10億米ドル)130
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