く検査し、安全に提供することが難しいと判断した場合は、ドナーの安全を最優先して生体肝移植は行いません。―膵臓の移植も同じですか。膵臓は柔らかく、肝臓に比べると傷つきやすい臓器です。膵液は本来、十二指腸に流れて消化液として働きますが、本来ない場所に漏れると周囲の組織や血管を傷め、出血するなど非常に危険です。膵移植では患者さん自身の膵臓は残し、脳死と判定された方から提供された膵臓を十二指腸の一部とともに主に下腹部へ移植し、小腸とつなぎます。対象は膵がんや一般的な膵炎の患者さんではなく、適切なインスリン治療を行っても血糖値が極めて不安定で、重い低血糖発作などを繰り返す1型糖尿病の患者さんが主です。糖尿病による腎不全を伴う場合には、膵腎同時移植が行われます。移植した膵臓が十分に機能すれば、体内でインスリンが作られるようになり、インスリン注射が不要になることが期待できます。ただし、移植後は拒否反応を防ぐため免疫抑制薬の継続が必要で、「その後の治療が一切不要」という意味での完治とは異なります。―開腹手術が行われているのですか。移植に関しては開腹手術です。その他の手術では、状態や病気の進行度に応じて、身体への負担が少ない腹腔鏡手術やロボット支援手術を積極的に検討します。肝胆膵領域でも鏡視下手術の適応は広がっており、神大病院でも安全性を重視しながら幅広く導入しています。―肝臓や膵臓のがんはなぜ早期発見が難しいのですか。肝臓では初期に痛みなどの症状が出にくく、「沈黙の臓器」と呼ばれています。膵臓も奥深くにあり、胃や腸のガスの影響で通常の腹部超音波検査では全体が見えにくいことがあります。小さいうちから周囲へ広がることがある膵がんは特に早期発見が難しいとテル治療、放射線治療、抗がん剤治療などについて複数の診療科で相談し、患者さん一人ひとりに最適な方法を検討します。―肝移植はどのような患者さんが適応となるのですか。肝臓の機能が著しく低下し、内科的な治療を行っても回復が見込めず、そのままでは生命の維持が難しい場合に肝移植が検討されます。肝硬変が進行して黄疸や腹水、意識障害などを繰り返す状態や、急激に肝機能が失われる急性肝不全、また一部の先天的な代謝性肝疾患、一定の条件を満たす肝細胞がんなどが代表的な例です。傷んだ肝臓を取り出して、ドナーの方から提供された健康な肝臓を移植し、胆管、動脈、門脈、静脈などをつなぎます。肝移植には、脳死と判定された方から提供いただく脳死肝移植と、健康なご家族などから肝臓の一部を提供いただく生体肝移植があります。生体肝移植では健康なドナーの方に手術を受けていただくため、詳し88
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