者による保険者選択競争を通じて経済性の向上に舵を切り、2007年には保険者による保険プランの提示によって民間保険的な性格を有するようになったのですが、2009年には保険者に基本保険プランの提示を義務づけ国民皆保険となりました。2010年には統一保険料を上げましたが、2014年には引き下げています。このように医療制度改革が繰り返されてきましたが、政権交代などの影響もあり改革は急進的で、制度の揺れ動きが大きく不安定です。─ドイツではどのような課題が浮き上がっていますか。大西 保険者選択制では保険者による高リスク者の排除や低リスク者の勧誘が問題になり、有病率による調整が追加されましたがこれが本当に適正かどうか疑問ですし、調整により一元化に近づいて競争導入の意義そのものが問われる状況となっています。また、社会保険料に占める事業主負担が高く、雇用コストの増大が失業率上昇の一因とされたため2000年に労使折半の原則を見直して事業主折半を一時減らしましたが、紆余曲折を経ながらも労使折半に回帰しています。また、近年では移民・難民の受け入れがドイツの医療財政を圧迫している一因となっており、難民希望者や不法移民による集団暴行事件や失業率の向上などもあって難民への支援が手厚いことへの不満が高まり、右派政党が台頭してきています。─ドイツにおける課題から、日本はどのようなことを学ぶべきでしょうか。大西 ドイツの医療制度改革は、市場競争の導入など急進的な手法に一定の限界を示していますので、日本においては競争的手法の導入について慎重に検討し、国民皆保険を基盤として漸進的かつ一貫した改革を積み重ねていくべきではないでしょうか。また、働き手の減少への対応としての移民受け入れについては、社会的影響も踏まえた慎重な対応が求められるでしょう。医療財源については被保険者および事業主の負担のあり方や後期高齢者医療制度などに検討の余地を感じるとともに、経済成長によるGDPの拡大を通じた医療財源の確保が望まれます。ドイツの例も参考にしつつ、持続可能な制度運営を目指す必要があるのではないかと思います。85
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