KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年10月号
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館」は全国から志村ファンや映画ファン、観光客たちが詰めかける市の観光名所のひとつとなっている。NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で、主人公の黒田官兵衛を演じた俳優、岡田准一も、尊敬する大先輩の俳優、志村のことを少しでも知ろうと、この記念館を訪ねている。映画『七人の侍』で農民を守るために命を懸けて闘う七人の報酬は食事のみ。「白米を腹いっぱい食べさせてくれたらそれだけでいい」と志村演じる勘兵衛は農民と約束を交わすのだ。一切の妥協を許さないのが黒澤明監督の撮影現場。志村は戦闘場面の撮影中、飛んできた弓矢に足を貫かれ、大怪我を負うが、何事もなかったかのように振る舞い続けたという。自分の為に撮影を止めたくなかったからだ。「演じることがすべて」。言葉で語らず行動で示した勘兵衛と志村の生きざまが重なる。=終わり。次は作家、佐藤愛子(戸津井康之)真面目すぎる〟エピソードがこんなふうに明かされている。ある日、志村とのデートから帰宅した政子は、とても怒っていた。《政子さんはわが家へ駆けもどってきて二階にとじこもった。母親は、志村が娘になにかしたと直感する。「なにしたんや、なにしたんや」「あんな人大きらい。無礼よ」と言うばかりの娘は、母にさらに聞きただされてやっと言う。「おしっこしたんや」母はゲラゲラ笑い出し、「こりゃあいい、まあちゃん、志村さんとこへいきなはれ」》この日のデートの場所は神戸の海岸だったというから、その場所は政子の自宅近くの須磨海岸だと思われる。《志村が政子宅をたずねたある日、海岸へ散歩に行った(今でいうデイト。しかし手をふれることさえないつきあいだったという)。日が落ちかけて仄暗い突堤を歩いていたとき、ついと離れた志村は、背を向くと放尿しはじめた》潔癖な政子は、志村の須磨海岸での立小便を許せなかったのだ。志村の朴訥さを示すエピソードでもある。デートの途中で政子が怒って帰宅したことにあわてた志村はすぐに手紙を送っている。その内容は、政子を迎えるために広い家を借りることを決めてきました―というもの。澤地は、いつもの〝志村らしくない〟必死さが伝わる珍しい手紙である、とこのエピソードを微笑ましく紹介している。夫婦ともに心を許した近しい澤地にさえ、「演じることがすべて」と言わしめた俳優。それが志村喬だった。映画館のスクリーンから放たれる唯一無二の圧倒的な存在感こそが、彼のすべてだったのかもしれない。幼いころ志村が暮らした兵庫県の生野鉱山職員社宅は、現在、復元され、「志村喬記念館」として公開されている。1876年竣工の、この建物は、現存する「日本最古の社宅」とされ、朝来市指定文化財にもなっている。歴史を留める「志村喬記念41

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