『22年目の告白―私が殺人犯です―』(講談社文庫)がある。同タイトルの映画のノベライズだ。同じく入江悠監督が映画化した『AI崩壊』の同名のノベライズも手掛けている。映画『AI崩壊』の公開前に取材した際、「小説家にとってノベライズとはどういうものか?」と問うと、「映画は最上級のトンカツ。このトンカツを最高のカツ丼に仕上げることが小説家にとってのノベライズと考えてください」と、見事に分かりやすい例えで説明してくれた。尽きることなき創作のアイデア「天空遊園地まほろば」の園内では、こんな厳格なルールが定められている。《1 当園は一生で一度しかご利用になれません。 2 再会できる死者は一名のみです。 3 当園のご利用時間は一時間のみです。 4 当園の遊具のご利用は一台のみです。ンなどは絶対に使いたくなかったんです。純粋に公募の小説コンテストで小説家としてデビューしたかったから」と振り返るが、もし、「文学賞を受賞できないでいたら…」。そう周囲が心配してしまうほどに、正直過ぎる生き方だと思えるが、創作に懸ける、この〝嘘のない正直な情熱〟こそが、小説家として作品を書き続けることができる最大の武器に違いない。2011年にデビューし、今年15年という節目を迎えた。その間、数多の物語を小説にして世に送り出してきた。このなかに、発行部数20万部超えのベストセラーとなった 5 当園では泣くことが禁止されています。泣くと、お客様の大切なものが失われます。》もう、この世にいない大切な人との〝最後の再会の場〟。そこで、泣くことが許されない。「このルールは厳し過ぎないですか?」と問うと、「だからこそいいんですよ」と毅然とした答えが返ってきた。「泣いてしまったら、物語はそこでピークを迎え、終わってしまう。そこで物語を終わらせたくはない。死者に再会した後。そこから、この物語はようやく始まるのです」つまり〝死者との再会〟がスタート。主人公たちの新たな人生はここから始まるのだ。2冊目を刊行したばかりだが、「シリーズ化して3冊目も出したい。まだまだ書きたい話がありますから」と、すでに新たな構想を膨らませていた。愛する故郷、生駒の〝まほろば〟から湧き出てくる創作のアイデアは尽きない。「次作ですか?時代劇とSFを融合させた作品を書いてみたい」。小説の構想はとめどなく広がる22
元のページ ../index.html#22