KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年10月号
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ただ、シリーズを通じて共通する登場人物が2人いる。まほろばの案内人、シチカと従業員のすみれ。そして、もう〝一人〟、忘れてはいけないのが、来場者をケーブルカーに乗せ、山上へと誘う黒猫だ。原稿は雑誌連載などではなく、「2冊とも書きおろしです」と言い、「もちろん1冊目の刊行時は続編の話はまだなかったです。1冊目が売れなかったら、続編の話は出てこないですからね」と続けた。こう語るのを聞き、正直驚いた。なぜなら、各章がオムニバス形式で描かれながらも、読み進めるうちに、シリーズを通じ、物語が巧みに絡み合ってつながっていることに気づかされるからだ。詳しくは、実際に読んで、作品の根底で一貫する洗練された構成を味わってみてほしい。少しだけヒントを明かせるとすれば、1冊目で重要な登場人物の一人、〝シチカの正体〟の謎に迫っていくこと。そして続編の2冊目では…。本が売れない。そう言われて久しい。だが、そんな風潮に抗うように、「読書は人生にとって欠かせないもの」と、その魅力を一人でも多くの人に伝えたいがために作家となって15年間、書き続けてきた。「小説を読む人が年々減り続け、本が売れなくなり、全国で書店が次々と潰れていく」現状を憂い、「どう書けば、もっと多くの人に小説に魅力を感じ、読書好きになってもらえるか」と考え、日々葛藤しながら物語を紡ぎ出してきた。郷愁の〝まほろば〟生駒山上遊園地で取材し、従業員たちから話を聞き、その歴史などを調べてきた。先頭車両がネコやブルドッグの顔をしたケーブルカー。「これは日本で最初に開業したケーブルカーです。遊園地のシンボルである飛行塔は日本最古の大型アトラクションなんですよ」故郷の歴史ある遊園地への思い入れは人一倍強い。小説の端々から、そんな思いがあふれ出てくる。〝まほろば〟には「素晴らしい場所」、「理想の地」という意味がある。第1章「記念日のスケートリンク」の主人公、佐伯陸は、若くして妻を亡くし、一人娘の育児のために、勤務する放1分で読める超短編『1分小説』を考案し、「毎朝、新作を一作、書き続けています」と語る20

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