るかも知れませんよ。如何に横尾美術館が自由であったかと。従ってもし僕が学芸員のキュレーションにいちいち口出しをして、彼等の発想案に僕が次々と注文を出すと、彼等は必死になってガードするかも知れません。そして本来は作家主導で展覧会は開催されるのだが、そのことさえ忘れて、自分の意思を作家によって変更させられたことに驚いて、抵抗するかも知れません。そのために一度、他の美術館で誰か他の作家の個展をキュレーションしてみたら如何ですか。きっと横尾美術館が如何に自由であったかを認識することになるでしょう。そんな理由で、作品の内容の選択に対して、僕はあまり口出しをしません。学芸員が作家をどう批評するかということが、キュレーションやインスタレーションに表れるのです。僕が自作の個展に対して口出ししないのは、展覧会そのものが学芸員による、ひとつの批評だと考えているからです。「あっ、学芸員は僕の作品をこのように批評しているのか。なるほど」と見るためです。学芸員の批評は、批評文だけでなく作品を選択するところから、どのような展示をするか、その全ての行為が学芸員の僕に対する作家論であるということです。だから下手なキュレーションをすると、疑われるのは作家ではなく、学芸員なのです。それは、入場者の数字にそのまま影響します。もし入場者が少ない場合は、それはキュレーションに対する一般鑑賞者の批評です。そこまで学芸員が考えているかどうかは、僕は知りません。従って展覧会が成功するか失敗に終わるのかの問題は、学芸員の「生き方」にあるのです。美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、東京都名誉都民顕彰、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』ほか多数。2023年文化功労者に選ばれる。横尾忠則現代美術館現在、横尾忠則現代美術館では、展覧会『Curators in Panic 2 〜横尾忠則展 学芸員危機2髪?』開催中です!17
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