KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年10月号
12/124

用いる点など、平安時代中期の仏画に共通する彩色技法が認められる。現在、10幅のうち1点は大阪市立美術館、2点は東京国立博物館、そのほかの7幅は奈良国立博物館に寄託され、日本仏教絵画の至宝として大切に保管されている。美しきかな ひょうごの文化財 22法華山一乗寺兵庫県加西市坂本町821-17※「絹本著色 聖徳太子及天台高僧像」は現地でご覧いただけませんが、宝物館では聖徳太子像と最澄像のレプリカをご覧いただけます。法華山の険しい山道を登っていくと、さらに本堂へと続く参道には162段の石段が続く。ここで修行僧たちが厳しい修業を行っている様子を窺い知ることができる。天台宗の寺院として創建された一乗寺の山号は法華山で、創建は飛鳥時代と伝わる。中でも、平安末期に建立された三重塔は県内で数少ない国宝建築で、高台に建つ本堂からの眺望は境内随一といえる。さらに一乗寺には日本仏教史を語る上で重要な文化財が多数伝わる。その代表が、絹本著色聖徳太子及天台高僧像である。インドを起源として中国に伝わった天台宗は、最澄によって日本に伝えられたが、天台宗確立に携わった祖師9名に、飛鳥時代に仏教をもって国家づくりに努めた聖徳太子を加えた10幅からなる肖像画で、国宝に指定されている。聖徳太子の肖像画は、太子が16歳の時に父である用明天皇の病気平癒のために祈願した姿を描いている。髪は角かずら髪に結っており、両手には香炉を持ち、束帯や衣冠の時に着る上着である袍ほうの上に赤い袈裟を掛けている。また周囲を取り囲む従者たちが一心に祈願する姿も興味深い。祖師9名の中には、伝教大師最澄︵767︱822︶を描いた肖像画があるが、最澄の肖像画は極めて少なく、現存最古の作品として知られている。頭巾を被り袈裟を掛け、両手で禅定印を結んで瞑想する姿を描いている。水銀朱や鉛丹などの暖色系の顔料を効果的に用いており、また金色の金具部分は裏箔を日本仏教絵画の至宝法華山一乗寺国宝 絹本著色 聖徳太子及天台高僧像参考資料「かさい観光ナビ」「加西市公式ホームページ」「週間朝日百科 仏教を歩く」12

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る