KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年9月号
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 「障害者の方が読んでおられるところを見たいのですがそんな機会はないですよね?」と。すると、 「こういった、他人がいる所で読まれることはあまりありませんね。希望に応じて郵送することが多く、お家で読まれますから」とのこと。 ところで点字本の制作には、著作権法で著者の許諾を必要としないと定められている。だからわたしの本も知らぬうちにそうなっていたわけだ。著者のあずかり知らぬところで、誰かのために姿を変えていたのだ。 何枚か写真を撮らせてもらい、帰宅してから読んでみた。といってもわたしにわかるわけがない。戴いて帰った点字一覧表を見ながらである。 表題のページ。 実物ではないので写真の隆起の影を目で追いながらである。 「イマムラキンジ チョ」とたどたどしく読めた。ちょっと感動的。 そして、「コーヒーカップノミミ」と読めた。 しかし大変だ。単に点字文字を覚えるだけでなく、記号や数字、アルファベットなども覚えなくてはならない。スラスラと読めるようになるには、個人差があるが一年から一年半ほどの継続的な訓練が必要なようだ。さらに、漢字がないということは、文学作品などはより豊かな想像力が必要だろう。前後の文脈から同音異義語を判断し、想像するということだから。一般の健常者よりも神経や感性が研ぎ澄まされるにちがいない。 あの真っ白で清潔な本。一人でも多くの人の指先で「触読」してもらえることを願う。■六車明峰(むぐるま・めいほう)一九五五年香川県生まれ。名筆研究会・代表者。「半どんの会」会員。こうべ芸文会員。神戸新聞明石文化教室講師。■今村欣史(いまむら・きんじ)兵庫県生まれ。兵庫県現代詩協会会員。「半どんの会」会員。著書に『触媒のうた』―宮崎修二朗翁の文学史秘話―(神戸新聞総合出版センター)、『コーヒーカップの耳』(編集工房ノア)、『完本 コーヒーカップの耳』(朝日新聞出版)、随筆集『湯気の向こうから』(私家版)ほか。(実寸タテ16㎝ × ヨコ9㎝)85

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