KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年9月号
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例えば、喉頭がんが声帯にできると、外科手術で摘出すると声が出にくくなることがありますが、放射線治療を中心とした治療を行うことで、声を出す機能を温存できる場合があります。前立腺がんでは、外科手術後に尿失禁が起きるケースがあります。放射線治療を選択することで排尿機能を温存できる場合があります。乳がんは手術で切除する治療がメインですが、腫瘍を含む乳房の一部だけを手術で摘出し、残った乳腺に放射線を照射する乳房温存療法が標準的な治療の一つとなっています。こうすることで、乳房を温存しつつ乳房全摘手術と同じような効果が期待できます。―機能を温存できるということは最善の治療法ということですか。放射線治療は万能ではなく、がんの種類や広がり方によって向き不向きがあります。全身に病気が広がっている場合は薬物療法が中心になり、病変が広範囲に広がっている場合には放射線治療単独では十分な効果が得られないことがあります。喉頭がんについては早期(ステージ1~2)であれば放射線治療のみで根治を目指しながら機能を温存することが可能ですが、例えば腫瘍が喉頭の周囲まで広がった進行例では、喉頭を摘出する外科手術をお勧めすることがあります。前立腺がんでは、進行例では外科手術だけで取り切ることが難しい場合があります。一方、早期の場合は、手術や放射線治療など複数の治療選択肢があり、期待される治療効果や副作用、生活への影響などを考慮しながら、患者さん自身の考え方も大切にして治療法を選択します。最近は肺がんでも早期であれば、放射線の外部照射を4回繰り返す高精度な治療で外科手術に匹敵する効果を得られるケースも増えています。どんながんでも患者さんの意思を尊重しながら、最適な治療法を検討することが重要です。われるX線よりも高いエネルギーの放射線を照射すると、体内の水分子(H2O)からOHラジカルと呼ばれる物質などが生じ、DNAを傷つけます。また、放射線そのものがDNAに直接作用することもあります。最近よく耳にする「重粒子線治療」も放射線治療の一種で、通常のX線とは異なる特徴を持ち、がん細胞への高い殺傷効果が期待されています。―放射線はがんの治療以外でも使われることがあるのですか。ほとんどはがんの治療です。特殊な例としては、手術後の傷跡に放射線を当てることによってケロイドをできにくくする、甲状腺眼症の患者さんにステロイド治療と同時に放射線を当て、眼球の突出などの症状を改善するなどがあります。ただし、日常診療ではがん治療が中心です。―がんの放射線治療は臓器機能の温存が可能なのですか。80

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