3号被保険者制度が廃止され第1号へ移行すると、年間30万円前後の負担が生じることになります。─昨年の年金制度改正ではどのような変化がありましたか。久野 被用者保険の適用拡大が進められ、企業規模要件の段階的撤廃、非適用業種の解消、賃金要件の撤廃が段階的に進められる計画です(図2)。勤労者皆年金を徹底することで、第3号被保険者制度によるインセンティブの歪みの是正を目指し、第3号被保険者は年金と医療保険の両方で「負担なき給付」から「負担と給付の対応関係」へ転換されますが、これは制度財政の安定化に一定の効果をもたらすでしょう。─この方針の転換により、健康保険制度にはどのような影響が考えられますか。久野 財政の安定化が見込まれる一方で、中小企業を対象にした協会けんぽは510億円の収支悪化が見込まれています。その要因は図3の通りで、長期的には財政悪化から保険料率の引き上げに結びつき、加入者の負担増を招く恐れがあります。また、市町村国保も長期的には、現役世代の労働者が被用者保険へ移行することで加入者の高齢化率や低所得者率が高まり、収支が悪化すると見込まれています。いずれ改善策が必要になるでしょう。─昨年の改正では、遺族年金制度も変わったそうですが。久野 遺族年金はもともと配偶者を扶養する世帯単位の年金でしたが、改正後は遺された人自身の就労・自立を前提にした「一定期間の補償+個人の老齢年金」となり、実質的に個人単位化の流れに沿った改正となり、2028年4月から段階的に施行されます。一方で遺族年金は老齢年金と違い所得税・住民税ともに非課税なので不公平であるという点が課題です。─今後、女性のための社会保障はどうあるべきなのでしょうか。久野 女性を主たる対象として創設された第3号被保険者制度は、歴史的に重要な役割を果たしてきましたが、社会構造の変化に合わせた再設計を迫られています。就労可能な層と支援が必要な層を区別し、真に支援が必要な人を守りつつ、持続可能な社会保障制度であることが求められると思います。図377
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