KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年9月号
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りするしかない場面がほとんどなので、言葉は必要なんだけれど、表層だけを取り繕ったものを重要視してしまうのは気になります。言葉にならない内側を見ようとするのも大切なんじゃないかなと思いますね。でも、言葉がないから救うべき存在だとも思わないし、言葉がないから純粋無垢だとも思わない。こちら側に気づいていない偏見があるかもしれないんです。自戒しなければいけない。大貴の周りにいる人たちみたいに、フラットな関係を築けたらいいと思っています。ー大貴の周りの人たち、職場の須賀さんや施設長はフラットでした。いい感じでしたね。出演者は皆さん、語らずともわかっている人ばかり。本を読み解く力を持っている方ばかり。仕事に対して誠実な方ばかり。そういう役者さんたちにお願いしましたから、そのあたりは信頼していました。ー音楽もやさしく自然でした。富貴晴美さんには、泣きの音楽にはしないでくださいと、音楽家に対するお願いとしては、なんておかしなお願いなんだと思いながらも、そう話しました。観客より先に酔いたくないという理由もあるし、大貴と希と彼らの周りにいる人たちと同じように、高らかには歌わない。でも確かに存在している。全体的に同じ感覚でいたかったのです。浮さんの主題歌は、思いがけず物語のテーマになる詞を、さらっとのせていたのには驚きました。ふっと力の抜けるような…。ーこの作品で1番伝えたいことは?ASDについて知らなかった人が、ちょっと知るきっかけになればいいかな、と。ひいては、人は社会において、経済的に役に立つか否かで存在意義が決まるものなのか。そんなことを考えるきっかけになれば良いかなと思っています。例えが難しいけれど、かつて帝国陸軍は、召集兵に「お前た『平行と垂直』 監督:小林聖太郎 原案・脚本:山野海出演:安田章大 のん伊島空 高山トモヒロ 谷村美月 福田転球 芦川誠 早織 久保田磨希 河野咲良 髙田幸季 武藤凪 林英世/神野三鈴 菅原大吉音楽:富貴晴美 主題歌:浮 with 安田章大「話そう」企画:安田章大/企画プロデュース:佐藤現 配給:東映ビデオkino cinema神戸国際 ほか 全国公開中 公式サイトちは一銭五厘で集められるんだ」と言っていたそうです。一銭五厘は召集令状の切手代で、陸軍の予算的には一見理屈が通っているけど、人間が成長するまでに周りが投入した経済的・精神的な資産は、当然そんなものでは済まない。現代で求められている「経済性・効率性」も、それに近いものを感じるのです。text.田中 奈都子27

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