もずっとないのですから』と」さらに、「この曲が大ヒットした後、新井さんからこう言われました」と秋川はこう続けた。「ヒットしたことを、ただ喜んではいけない。この曲の向こう側には亡くなった多くの人たちの命があることを忘れてはいけないから…」と。コロナ禍、コンサートが開催できず、歌う場を失った秋川のことを気にかけ、心配していた新井は2021年に死去した。秋川へこの曲を託して…。彫刻への情熱オペラ歌手の一方で、2010年以降、彫刻に取り組んでいる。きっかけは今から16年前。ドイツで鷹の彫刻を買ったときにこう思ったという。「自分も彫ることができるかもしれない」と。以来、毎日、彫刻と向き合い、技術を磨き、2021年からは、「二科展」の彫刻部門に5年連続で入選している。「もちろん今年も応募しますよ」と話し、近年、挑んでいるテーマは〝対決〟だとも。2023年はカエルとヘビの戦いを彫った「木彫蛙と蛇」。昨年はカブトムシとクワガタの戦いを作品にした「木彫アクティオンゾウカブトとスマトラオオヒラタクワガタ」で入選を果たしている。今、取り組んでいる新作は「ナイルワニ対アナコンダの戦い」だという。コンサートツアーなど音楽活動を続けながら一年に一作、新作の彫刻を完成させてきた。この〝二刀流〟の継続は並大抵の努力では成し得ないと想像できるが、「毎年、二科展に出展するという目標が決まっているから毎日、続けることができるのです」と話す。毎日欠かさず歌のレッスンを行うとともに毎日、彫刻刀を握る。日々のスケジュールはハードだ。歌のレッスンと彫刻の作業に加え、毎日約3キロ走り、週に数回、エアロバイクをこぎ、背筋を鍛え、週1回は肺活量を鍛えるためにスイミングで約600メートルの潜水を行う。テノール歌手としての強靭な肉体を保持するために心身を極限まで追い込む生活を続けている。その姿はまるで屈強なアスリートか、修行僧のようである。愛媛から世界へテノール歌手となって、長年抱いてきた大きな目標のひとつに今年の夏、挑んだ。イタリアの作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲したオペラ「オテロ」だ。世界三大テノール歌手と称されたルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・日々の歌の練習と同様、秋川雅史は「毎日、彫刻刀を握る」という(本人提供)22
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