―神大病院腫瘍・血液内科で行われている臓器横断的な治療とは?日本にドイツから医学が入ってきた明治のころから病気の治療は臓器別に行われてきました。ところが、がんの薬物療法についてはどの臓器にできる固形がんでも同じような抗がん剤を使って同じような考え方で治療しますから、習熟した腫瘍内科専門医が臓器横断的に治療をすれば、各臓器の外科・内科の先生方の負担が軽減され専門的な治療に専念できます。ひいては患者さんのためになります。臓器別の学問と薬物療法は全く別の領域の学問にもかかわらず、一人の医者が担おうとしたところに矛盾が生じていました。1970年代にアメリカでは、もともと抗がん剤治療が行われていた血液領域から派生し、「ヘマトロジー(血液学)・オンコロジー(腫瘍学)」と呼ばれる一つのセクションがすでに出来上がっており、腫瘍内科医が幅広くがんの薬物療法に専念していました。非常に合理的な考え方です。―日本でも腫瘍内科医の必要性が言われるようになったのはなぜですか。抗がん剤の研究が飛躍的に進み種類が増えて複雑になっています。それに伴い、さまざまなメカニズムで副作用が起き、その管理も難しくなっています。例えば、従来は手術後に再発を抑えるため抗がん剤治療が必要な場合、引き続き臓器別の専門医が担ってきました。臓器別に専門医が使い方や副作用まで勉強し、他の臓器でもその治療が有効だと分かればまたその領域の専門医が勉強しなくてはなりません。この繰り返しでは各専門医の負担はますます大きくなり、患者さんにとってのメリットもないことが、日本でも知られるようになりました。―神大病院ではどのような経緯で腫瘍・血液内科が開設されたのですか。 私は90年代のアメリカで、臓器横断的に行われている合理的ながん薬物療法を目の当たりにしました。日本に帰り、現在神大病院の魅力はココだ!Vol.57神戸大学医学部附属病院腫瘍・血液内科南 博信先生に聞きました。86
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