KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年8月号
68/124

PROFILE 多田 将 (ただ しょう)1970年、大阪府生まれ。京都大学理学研究科博士課程修了。理学博士。京都大学化学研究所非常勤講師を経て、現在、高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所、准教授。加速器を用いたニュートリノの研究を行う。著書に『すごい実験 高校生にもわかる素粒子物理の最前線』『すごい宇宙講義』『宇宙のはじまり』『ミリタリーテクノロジーの物理学〈核兵器〉』『ニュートリノ もっとも身近で、もっとも謎の物質』(すべてイースト・プレス)がある。もともとのアインシュタイン方程式48GcGTg空間の歪み質量・エネルギーアインシュタイン方程式性質量」と言います。この「慣性質量」は「動きにくさ」を表わしたもので、第17回でお話ししたものと同じです。一方、重力も、その相手がたとえば地球のように決まっていれば、物体の質量に比例します。このときの質量を「重力質量」と言います。「等価原理」の本質は、この「慣性質量」と「重力質量」が、同じものであるとしたことなのです。「重力なんやから同じで当然やろ」と思われるかもしれませんが、「動きにくさ」という運動の話から導いた物理量と、重力という自然界に存在する力から導いた物理量とが一致するのは、必ずしも当然とも言えなかったのです。それを等価であるとしたところが、一般相対性理論の開始地点となっています。これを開始地点としてアインシュタインが構築した一般相対性理論の最大の特徴は、重力を「空間の歪み」と表現したことです。ある質量(あるいはエネルギー)と、それがつくり出す「空間の歪み」を表わしたものが、本連載第11回でお話しした「アインシュタイン方程式」です。次回は、この考え方が、従来の「ニュートン式」の重力の考え方とどう違うのか、についてお話ししましょう。68

元のページ  ../index.html#68

このブックを見る