クローンビジネスが現実化し、社会に広まっているのだ。《日本円で700万円ほど払えばペットの犬や猫を復活させてくれるサービスを提供したのは、クローン作製大手ビアジェン社。多くのハリウッドセレブやトムのような有名スポーツ選手といった、裕福な顧客に支えられている》と、驚くべき米国の実態に堤さんはペンの力で斬りこんでいく。SFの世界ではない現実この堤さんの話を聞いていて、本誌連載『物語が始まる』6月号で紹介した是枝裕和監督の言葉が私の頭のなかに甦ってきた。今年の仏・カンヌで開催されたカンヌ国際映画祭のコンペ部門にノミネートされ、5月に日本で封切られた是枝監督の新作『箱の中の羊』は、2年前に亡くなった7歳の長男が、生前のままのそっくりの姿のサイボーグとなって夫婦の前に現れる―というストーリーだ。最新のAI技術によって、亡くなった人を、そっくりそのまま映像で蘇らせるというビジネスが中国で流行っている…。是枝監督は、この話をニュースで知り、中国へ行き、このビジネスを立ち上げた会社社長を取材してきた、と取材で語った。さらに、日本に帰ると是枝監督は最新AIや最新のロボティクスの研究者たちを取材した。是枝監督は「この中国の社長は『今はまだAIの映像ですが、10年後には亡くなった人そっくりのロボットが完成しているでしょう』と話していました」と語り、さらに日本の研究者たちは「ロボットが完成するよりも、クローンの登場の方が早いかもしれないですね…」と続けたのだ。堤さんの友人が飼っている愛犬は、「まだ生きています」と話すが、今も米国では次々とクローンのペットが〝誕生〟している。映画で描かれた世界が、すでに現実の社会で進行し始めているのだ。命は誰のもの堤さんには、この新刊を書く明確な理由があった。今から3年前の2023年。堤さんは米国在住の弟夫23
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