KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年8月号
17/124

ので、きっと会社勤めの時よりは収入が増えると思ったのですが、全然逆で、何ヶ月も全く、仕事の依頼など見事になかったのです。仲間3人で、銀座に一間の小さい仕事場を共有したのですが、他の2人にも仕事の依頼は全くなかったのです。収入がなくなると、人間は次から次へと悪知恵が働いて、それそんな時に、会社での限界を感じて会社を辞めてしまいました。従って、収入はゼロです。でも自由になりたかったので、ゼロでも心が解放され、自由を満喫していました。お金がないと、本当に自由になれるものです。この感覚は、本当に生活の底をついた時の感覚です。こうしてフリーランスになったなりにぜいたくな生活ができるものです。知人のお父さんが映画会社に勤めていて、映画の無料招待券がいくらでも手に入るので、驚くほど毎日のように映画を見に行きました。映画の中で、ロベール・オッセンが着用していたコンチネンタルスーツが着たくなって、知り合いの知り合いの紹介で、銀座の高級テー《毛皮のマリー(天井桟敷)》1967年 横尾忠則現代美術館蔵17

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る