になるのかが明かされる。真正版では、血しぶきが飛ぶ妖怪の戦いなど残酷な描写も出てくる。生誕100年で水木が描いた鬼太郎の原型にアニメ版が近づいたことは意味深い。ガダルカナルの戦場で武良茂はこの世の地獄を見た。それでも、生きることをあきらめず、この地獄から生還する。そして片腕を失う重いハンディを背負いながらも、神戸で漫画家、水木しげるとして生まれ変わるのだ。陽気で弱音を吐かない水木しげると、目玉おやじたちと力を合わせ、妖怪に立ち向かう屈強な鬼太郎の姿が重なって見えてくる。戦場から帰還した水木は平和な時代の現代日本人へ、漫画で何を伝えようとしたのか。戦争や貧困…。理不尽で残酷な現実は今も我々のすぐ隣りに潜んでいる。この事実から目を背けさせないために、平和を脅かす恐ろしい妖怪と戦う鬼太郎の雄姿を水木は描き続けたのではないか。=次は俳優、志村喬。 (戸津井康之)てきた妖怪の伝承を追い求める。方や文章、方や漫画で日本の妖怪を今に伝え、後世へ遺したのだ。神戸に縁のなかった二人が、たまたま神戸という土地で新たな名前を得て、第二の人生を歩み始める。生涯を懸けたライフワークはともに妖怪。これは、たんなる偶然といえるのだろうか。今年3月まで放送されたNHKの連続テレビ小説『ばけばけ』で、小泉八雲の半生がクローズアップされ、話題を集めた。16年前の2010年には、水木の半生が、彼の妻を主人公にした連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』で描かれた。3年前の2023年。水木の生誕100周年記念と銘打って封切られた一本の劇場版アニメが注目を集めた。タイトルは『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』。興味深いのは当初、PG12(12歳未満の鑑賞は保護者の助言や指導が必要)で公開されたが、反響の大きさに翌年、327カットをリテイクし、年齢制限を引き上げR15+(15歳未満鑑賞禁止)の〝真正版〟として作り直し、公開されたことだ。その理由を東映の宣伝担当者に聞いた。「想定していたよりも、実際の来館者の年齢層は高かった。それならば、と年齢制限のために表現できなかったNGシーンをR15+用に引き上げリテイクし再上映することにしたのです」水木が漫画で描いた鬼太郎が、1968年、初めてテレビアニメで放送されたとき。まだ、「アニメは子供向け」という時代だった。このときに作られたイメージで〝可愛い鬼太郎〟の顔を思い浮かべる人は多いのではないか。だが、原作の愛読者なら、水木が描いた鬼太郎は〝可愛い子供〟という存在だけで括れないことを知っている。隻眼を長髪で隠した鬼太郎は、社会に巣くう妖怪を退治しながら生きている。人間を助けるために。劇場版では、なぜ鬼太郎がこんな過酷な宿命を背負うこと119
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