KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年7月号
84/124

あるとする研究は多く、イギリスでは医療費削減の結果、医療従事者の人手不足や医療提供体制の弱体化を招き、患者の健康や生命に影響する可能性が指摘されています。財政効率だけでなく、皆さまの命を支える人材や体制を守る視点が重要であることをお伝えしました。─ポピュリズムに関する講演はありましたか。─3番目は高部先生が講演されたそうですね。高部 はい。「新自由主義経済学と医療費抑制の関係」をタイトルに、医療費を削ると社会はどうなるかをお話ししました。例えば窓口負担を増やすと、国が支払う医療費は抑制されても、本当に必要な受診まで我慢する人が増え、健康悪化が懸念されます。また、予算を削って財政規律を優先することは健康に有害で高部 姫路聖マリア病院の田中大介先生が「ル・ボンの『群衆心理』からポピュリズムを考える」をテーマに発表されました。人は集団になると理性より感情が優先され、極端な意見に流されやすくなるというル・ボンの分析は、現代のSNSでの炎上やフェイクニュースの拡散にも重なります。人々の不安や怒りをあおり、わかりやすい〝敵〟をつくって政治利用する手法が「ポピュリズム」であり、これが台頭すると社会が分断され、本当に必要な議論が止まってしまいます。防ぐ手段として、感情を強く刺激する言葉にすぐ反応するのではなく、複数の情報を見比べ、冷静に考える姿勢が大切だと投げかけられました。─第2部の基調講演はどのような内容でしたか。高部 権丈教授に「社会保障政策とアテンション・エコノミー」を演題にお話しいただきました。これからの医療は第1部では4名の姫路市医師会員の先生方が、現場の視点から講演。3番目は、医療費を削ると社会はどうなるかを高部先生がお話しされた84

元のページ  ../index.html#84

このブックを見る