KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年7月号
83/124

3月21日に姫路市医師会館の大ホールで「医療と介護を新自由主義とポピュリズムから守ろう」をテーマに開催。第1部で司会を務められた、姫路市医師会医政担当理事の多田英二先生姫路市医師会から関係者へ地域全体のバランスを考慮するよう働きかけることで偏在を改善できないかという提言とともに、行政による過疎地域での開業時の経済的支援も必要であるとのお話でした。─2番目の講演はいかがでしたか。高部 福本内科の福本淳先生に「アダム・スミスと市場システムの誕生」を演題にお話しいただきました。自由競争を重視した〝経済学の父〟アダム・スミスでさえ「弱い者も生きられる社会こそが本当の自由な社会」と考え、その前提としてルールが必要だと説いています。医療は命を扱うという倫理的側面から、「お金を払える人だけが救われる」という採算性だけを重視する医療提供にはなじみません。現在の医療保険制度や自由開業医制の良さを生かしつつ、公的制度と市場の力をいかに組み合わせるかが医療政策の核心であるというご指摘でした。として取り上げました。姫路市医師会医政担当理事の多田英二先生の司会のもと、第1部では4名の医師会員が現場の視点から講演し、第2部では基調講演として、国の社会保障審議会などの委員を歴任されている慶應義塾大学商学部の権丈善一教授をお招きしました。─一般講演の最初の講演はどのようなお話でしたか。高部 岸田医院の岸田裕志先生から「姫路の医療偏在問題」をご報告いただきました。市内の医師約1,400名のうち、山間部の北部で診療している医師はわずか8~10名で、7つの診療科が存在しないなどの格差があります。その背景には、診療所の開設に医療テナントや薬局の出店戦略も影響しており、民間事業者はどうしても採算性の高い地域に集まりやすく、その結果として医療資源の地域偏在が助長される構造があります。83

元のページ  ../index.html#83

このブックを見る